データネット2025 2025年度 大学入学共通テスト 自己採点集計

問題講評 数学II,数学B,数学C

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仮説検定の問題が出題され、「平面上の曲線」からの出題はなし。昨年よりやや難化

第2問「指数関数・対数関数」では、共通テスト本試験で初めて常用対数表を利用する問題が出題された。第5問「統計的な推測」では、新課程で扱われるようになった仮説検定の問題が出題された。第7問は、「複素数平面」のみからの出題であった。全体的に分量が多い問題がならび、昨年よりやや難化。

1.全体概況

大問数・解答数 試作問題(令和4年度大学入試センター公表)と同じく大問数は7で、第1問~第3問は必答、第4問~第7問の中から3大問選択する形式。
出題形式 選択肢から選ぶ問題の解答数は、昨年が25~28個であったのに対し、今年は37~40個であった。第1問、第5問で対話形式の問題が出題。第2問は日常の事象を題材とし、常用対数表の読みとりが必要な問題が出題された。また、第5問で、前設問が正解の場合のみ点が与えられる問題が出題された。
出題分野 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく幅広く出題された。新設された数学Cの「平面上の曲線・複素数平面」からは、「複素数平面」のみ出題された。数学IIの範囲では、「式と証明・複素数と方程式」および「図形と方程式」の出題はなかった。
問題量 ページ数は29~32ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より8~9ページ増加した。
難易 昨年よりやや難化。

2.大問別分析

第1問「三角関数」 (15点・やや難)

三角方程式の問題。サインの場合はy軸に関する対称性を利用し誘導に従って解くことがポイントになる。同様にコサインの場合もx軸に関する対称性を利用し、方程式を解けばよい。

第2問「指数関数・対数関数」 (15点・やや難)  

水草が池の水面を覆う面積の割合を測る問題。基本的な指数・対数の演算と、計算して得られた対数の値から常用対数表を用いて、作業の後に残す水草の量をa%とし、a以下の最大の整数を求める問題であった。

第3問「微分法・積分法」 (22点・標準)

導関数が同じ二つの3次関数のグラフや極値について考察する問題。(1)は与えられた条件から極値を求める基本的な出題。(2)(ⅰ)は、導関数のグラフを調べ、3次関数のグラフを選択する問題。(ⅱ)は、3次関数の極値を定積分で表し、二つの3次関数の極値の関係を考察する目新しい問題であった。

第4問「数列」 (16点・やや難) 

平面上の格子点を題材とし、等差数列、等比数列の和、Σの計算を含んだ問題。(1)は1次関数のグラフとx軸、直線x=21で囲まれた図形の内部、(2)は指数関数のグラフとx軸、y軸、直線x=n+1で囲まれた図形の内部、(3)は2次関数のグラフとx軸、y軸、直線x=n+1で囲まれた図形の内部にある格子点の個数を考える。(3)は格子点の個数から2次関数を決定する問題であった。

第5問「統計的な推測」 (16点・標準) 

今年収穫されるレモンの重さを表す確率変数Xについて、二項分布や正規分布を用いて考察する問題。(1)は今年収穫されるレモンの重さは過去に収穫されたレモンの重さと同じ分布に従うとしたとき、レモンの重さの確率や期待値を求める問題。正規分布や二項分布の基本的な考え方が問われた。(2)は今年収穫されるレモンから何個か抽出して、今年収穫されるレモンの重さの母平均を推定する問題。信頼区間の幅から必要な標本の大きさを考えさせた。(3)は今年収穫されるレモンは、過去の平均より軽いといえるかを仮説検定を行い検証する問題。手順は示されているので、仮説検定の基本的な考え方を理解していれば解答することができる。教科書を中心とした基本事項から出題された。

第6問「ベクトル」 (16点・標準) 

座標空間において、球面S上に頂点をもつ三角形ABCが正三角形となる点Bのx座標aの条件について考察する問題。(1)は、与えられた座標を用いて、ベクトルの大きさと内積を計算する問題。教科書レベルの基本的な問題であるため、確実に得点しておきたい。(2)は、aが具体的な場合で、(3)は、aが一般的な場合で、連立方程式が実数解をもつ条件を考える問題。全体を通して誘導があり、丁寧に計算を進めることができたかで差がついたと考えられる。

第7問「複素数平面」 (16点・標準) 

複素数平面上の3点A(α)、B(β)、C(γ)に対して直線ABと直線ACの関係について考察する問題。(1)は、α、β、γが具体的に与えられており、(γ―α)/(β―α)の偏角を求める問題。(2)は、直線ABと直線ACが垂直に交わるときに(γ―α)/(β―α)が純虚数であることについて問われた問題。両問とも教科書にある基本的な問題であるため、正確に解いて、得点を積み重ねたい。(3)は、α、γが複素数zを用いて表され、直線ABと直線ACが垂直に交わるときの点zの描く図形について考察する問題。(ⅱ)、(ⅲ)は、(ⅰ)の解法を再構築する力が問われた。誘導が丁寧であり、教科書レベルの問題を演習しておけば十分対応できる問題である。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2024 2023 2022 2021 2020
平均点 57.74 61.48 43.06 59.93 49.03

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