問題講評 旧数学I・旧数学A
通勤・通学やじゃんけんのような、受験生にとってイメージしやすい題材が扱われた。難易は昨年並
第2問は「通勤・通学」に費やした時間を題材にしたデータの分析の問題、第3問は二人または三人のじゃんけんを題材にした確率の問題であった。第4問「整数の性質」は二数の公約数と一次不定方程式の融合問題。第2問〔2〕「データの分析」と第3問「場合の数と確率」は、「数学Ⅰ、A」と異なる題材で出題された。問題難易は昨年並。
1.全体概況
大問数・解答数 | 昨年と同様、大問数は5で、第1問・第2問は必答、第3問~第5問の中から2大問選択する形式。第1問・第2問は、2中問構成であった。 |
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出題形式 | 選択肢から選ぶ問題の解答数は、昨年が13~20個であったのに対し、14~15個であった。第2問〔2〕は日常の事象を題材にした問題で、対話文形式を含み出題された。第4問でも一部が対話文形式で出題された。また、第2問〔1〕で、前設問が正解の場合のみ点が与えられる問題が出題された。 |
出題分野 | 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく幅広く出題された。 |
問題量 | ページ数は27ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より2ページ増加した。 |
難易 | 問題難易は昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「数と式」、「図形と計量」(30点・やや易) 〔1〕、〔2〕ともに数学I、Aと共通 必答
〔1〕は、文字定数a、bを含むxの2次方程式の問題。aまたはbの値を与えて2次方程式の解を求めている。最後にaの値と方程式の解についての必要条件、十分条件を問うている。〔2〕は、三角比の定義・正弦定理を用いて外接円の半径や線分の長さを求める問題。図形的な考察をすることで、計算量を少なくすることができる。
第2問「2次関数」、「データの分析」(30点・標準) 〔1〕は数学I、Aと共通 必答
〔1〕は、噴水の形状を題材にした問題。(1)は、2次関数を決定する問題。(2)は、(1)を利用して、放物線とx軸の交点の位置を考察する問題。〔2〕は、社会生活基本調査の集計結果から各分野における「総平均時間」と「行動者平均時間」それぞれの平均について考察する問題。(1)の前半はヒストグラムを用いた通勤・通学について最頻値と平均値を求める問題。後半では平成28年と令和3年それぞれの年のデータを比較し、箱ひげ図から記述の正誤を判断することが求められた。(2)の前半は散布図を読み解き、後半は相関係数を求める。冒頭の用語の説明を正しく理解し、落ち着いて計算することがポイントであった。
第3問「場合の数と確率」(20点・やや易) 選択
二人または三人でじゃんけんを行い、3回以内で優勝者が決まる確率を求める問題。(1)は二人の場合の確率を、(2)、(3)は三人の場合の確率を考える。(2)以降では誘導に従って解き、二人が一人になるときだけ(1)の2/3に気付けるかがポイントであった。(3)は優勝者を決めるのに新しいルール2が設けられるが、(ⅱ)は従来のルール1から確率が変化するのは3回目に優勝者が決まる場合のみであることに気付くと解きやすかったであろう。
第4問「整数の性質」(20点・標準) 選択
(1)は702を素因数分解し、正の約数の個数を求める問題、(2)は不定方程式9x-23y=1の整数解のうち、xが正の整数で最小になるものを求める出題であり、ともに基本的な内容であった。(3)は702との最大公約数が9で、かつ23で割った余りが6であるような正の整数nについて考える問題であり、前問までの結果を利用して解き進める必要があった。(4)は、(3)の(ⅰ)の結果などに着目し、不定方程式が正の整数解をもつか否かに着目するのがポイントであった。
第5問「図形の性質」(20点・やや難) 数学I、Aと共通 選択
空間内の五面体と6頂点を通る球面に関する問題。(1)は、3直線が1点で交わることを証明する問題。問題文の誘導に従って思考する力が問われた。(2)は、側面の四角形と球面の交わり部分を考える問題。(ⅰ)では、相似を用いて連立方程式を立てるという誘導、(ⅱ)では、方べきの定理を用いるという誘導があり、それぞれの誘導に従って解き進めればよい。(ⅲ)は、(ⅰ)、(ⅱ)の結果をもとに、角度の大きさに着目して空間内の直線や平面が垂直であるかどうかを考える問題。空間内の直線や平面の位置関係が題材となっている点は目新しい。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
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平均点 | 51.38 | 55.65 | 37.96 | 57.68 | 51.88 |
データネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション