データネット2024 2024年度 大学入学共通テスト 自己採点集計

問題講評【数学IA】

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― 三角比の表を利用する現実事象の問題が出題された。昨年より難化 ―

第1問〔2〕「図形と計量」では、太陽高度などを利用して、電柱の高さやその影の長さを求める現実事象の問題が出題された。第3問「場合の数と確率」は、昨年に引き続き、前の設問の求め方などを利用して解いていく問題が出題された。解法の方針が立てにくい問題が多く、昨年より難化。

1.全体概況

【大問数・解答数】 昨年と同様、大問数は5で、第1問・第2問は必答、第3問~第5問の中から2大問選択する形式。第1問・第2問は、2中問構成であった。
【出題形式】 選択肢から選ぶ問題の解答数は、昨年が14~19個であったのに対し、今年は13~20個であった。第1問〔1〕で対話形式、〔2〕で現実事象、第3問で対話形式の問題が出題された。
【出題分野】 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく幅広く出題された。「集合と命題」からは出題がなかった。
【問題量】 ページ数は25ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より2~3ページ増加した。
【難易】 昨年より難化。

2.大問別分析

第1問「数と式」、「図形と計量」 (30点・やや難)  〔1〕、〔2〕ともに数学Iと共通 必答

〔1〕は、√13の整数部分と小数第1位と第2位を求める問題。前半で、2√13の小数部分とその逆数について考察させて、それらを用いて、後半で√13の整数部分と小数部分を考察することが求められた。〔2〕は、水平面と斜面にできる電柱の影の長さについて考察する現実事象の問題。問題文から情報を読み取り、三角比の定義から電柱の高さや斜面の影の長さを求める必要があった。

第2問「2次関数」、「データの分析」 (30点・標準)  〔1〕は数学Iと共通、〔2〕は数学Iと一部共通 必答

〔1〕は、台形の辺上を【規則】に従って動く点P、点Qと1つの定点Bでできる三角形PBQの面積に関する問題。(2)以降は、問題を解く際に変数を自ら設定して三角形PBQの面積を関数として表し、面積の最大値や最小値、面積が10以下となる時刻を求める。(3)以降は、(2)を参考にして、場合分けをする必要があった。〔2〕は、長距離競技の記録のデータを扱った問題。データの代表値だけでなく、新たな数式を導入し、別の観点からデータの値を評価するところは目新しい。(1)の(i)、(ii)は、ヒストグラムから最頻値と中央値を、箱ひげ図から第1四分位数や四分位範囲を読み取る問題で、データの代表値の理解を問われた。(iii)は、ベストタイムに対する新しい変量zを平均値と標準偏差を用いて計算し、zの値により二人の選手の優劣を判断する問題。数式の計算だけでなく数式の意味の理解を問われた。数値が小さい選手の方が優れていると判断される点に注意したい。(2)は、複数の散布図より、2種目の競技における選手のタイムのとり得る範囲や相関の強弱を問う問題。散布図の読み取りをきちんと練習していれば解答できたであろう。

第3問「場合の数と確率」 (20点・やや難)  選択

箱の中に入っているアルファベットが書かれた何枚かのカードから、1枚のカードを何回か取り出して、アルファベットがすべて取り出される確率を求める問題。問題文で定義されている「そろっている」や「初めてそろう」の意味を正しく把握する必要があった。(1)では2枚、(2)では3枚のカードから取り出すが、カードの取り出し方の総数は問題で示されているため、適する場合の数を求めれば解答できる。(3)では4枚のカードから取り出すが、(1)、(2)で考えたことや、二人の対話から方針を理解し、確率を計算できるかがポイントであった。

第4問「整数の性質」 (20点・難)  選択

【表示方法】に従って、3進数、4進数、6進数を3桁表示するタイマーT3、T4、T6を同時にスタートさせ、それぞれに表示される数値と経過した時間を題材とした問題。(1)は、T6、T4のスタート後に表示される具体的な数値を求める問題。6進数、2進数、4進数に注意して計算すればよい。(2)は、T4、T6のスタート後、初めて同時に000に戻る時間を求める問題。最小公倍数を用いるとよい。(3)の前半は、T3、T4のスタート後、初めて同時に012と表示されるまでの時間を求める問題。不定方程式を解くため、計算力で差がついたであろう。後半は、T4、T6のスタート後、同時に012と表示されるまでの時間について考察する問題。不定方程式の解の有無を考える点が目新しい。

第5問「図形の性質」 (20点・やや難)  選択

星形の図形において、線分比や線分の長さ、円と点の位置関係などを調べる問題。(1)は、与えられた線分比の条件から、他の線分比を求める問題で、メネラウスの定理を用いれば解答できる。(2)は、星形に含まれる五角形の5つの頂点が同一円周上にある場合に、3点を通る円と他の1点との位置関係を調べる問題で、方べきの定理を利用すればよい。(iii)は(i)、(ii)で誘導された方法と同様に考えられるかどうかがポイントであった。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2023 2022 2021 2020 2019
平均点 55.65 37.96 57.68 51.88 59.68

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