問題講評 旧世界史B
幅広い時代・地域にわたり、資料と知識を組み合わせる思考力が求められた。難易は昨年並
図版や文献資料、グラフなど多様な資料が題材として用いられ、資料読解と基本的な知識とを組み合わせて考察する力が求められた。各大問に全体のテーマのまとめを考えさせる意図をもつ出題が多くみられた。問題難易は昨年並。
1.全体概況
大問数・解答数 | 大問数は4から5に増加し、解答数33個は昨年から変更なし。 |
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出題形式 | 文献資料やグラフなど、さまざまな資料が使用された。文章選択問題と組合せ問題が中心であった。メモ形式の文章正誤の組合せ問題が増加した。 |
出題分野 | 地域の網羅性が重視され、各時代からバランスよく出題された。分野では、昨年に比べ政治史が増加し、文化史の出題が減少した。時代は戦後史を含む近現代史が中心であった。 |
問題量 | 昨年並。 |
難易 | 問題難易は昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「世界史上の文化や、その交流を現代に伝える文物」 (21点・標準)
Aではアケメネス朝とギリシアの彫刻の類似性からオリエントと地中海世界の古代史が、Bでは漢字の書体に関する資料をもとに東アジアの古代史が、Cでは西アフリカの工芸品を題材に、アフリカ史について近世から近代を中心に出題された。各パートで大学のゼミ生がまとめたメモの正誤を問う問題が出題され、会話文を読み込む力が求められた。
第2問「世界史上の支配と従属の関係」 (19点・標準)
Aでは言語を切り口に中世ヨーロッパの政治や社会の状況、Bでは19世紀のイギリスの労働者の状況をジェンダーの視点を交えて出題された。問3や問6では、教科書に具体的な記述のない歴史的状況について、会話文をもとに判断する力が求められた。
第3問「帝国の制度や政策」 (26点・標準)
Aでは中国宮廷内の諸勢力の関係から国内の統治や反乱について、Bではイギリスの財政状況を示したグラフを題材として近代ヨーロッパの社会経済について、Cでは15世紀から20世紀のロシア・ソ連の領土と人口の変遷に関する統計資料からロシア・ソ連の歴史について出題された。問7と問8では昨年に続いて連動型の問題が出題された。表の年代と選択肢の時期が完全に一致していないので、ロシア史の大きな流れがとらえられているかが問われた。
第4問「世界史上に見られた植民地と宗主国の関係」 (15点・標準)
Aでは宗主国からみた植民地観、Bではインドにおける独立運動の広がりを題材に、近代以降の植民地問題について幅広く問われた。問3では植民地支配の正当化を概念的にとらえられているか、問5では独立運動の大衆化を具体的な出来事と関連づけて理解できているかが問われた。
第5問「近現代におけるアメリカ合衆国」 (19点・標準)
Aでは合衆国国歌の成立と愛国主義、Bではキューバ危機に関する評価の変遷を題材に問題が展開された。問3と問6では、概念的用語と具体的人名と出来事とのつながりが問われた。会話文の内容から一歩踏み込んだ知識理解が求められた。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
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平均点 | 60.28 | 58.43 | 65.83 | 63.49 | 62.97 |
データネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション