問題講評【世界史B】
― 資料読解から一歩踏み込み、分析・活用する力が求められた。昨年より難化 ―
大問数や解答数は変更なし。昨年と比べて、会話文や資料の分量が増加した。加えて、これまで以上に学習した知識をもとに資料を読解し、吟味・検討する力が求められた。難易は昨年より難化。
1.全体概況
【大問数・解答数】 | 大問数5、解答数34個は昨年から変更なし。 |
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【出題形式】 | 資料や会話文を吟味・検討することが求められる問題が多く出題された。文章選択問題が増加し、組合せ問題が減少した。 |
【出題分野】 | 地域は西ヨーロッパからの出題が増加し、東アジアも昨年と同様に多く出題された。時代は古代史が増加し、現代史・戦後史が減少した。分野では、昨年と同様に、政治史中心であったが、社会経済史が増加した。 |
【問題量】 | 昨年よりやや増加。 |
【難易】 | 昨年より難化。 |
2.大問別分析
第1問「歴史の中の女性」 (16点・標準)
Aでは女性の参政権獲得、Bでは中国史の中の女性に関する会話文を中心に、問題が展開された。問4・問5では、資料の読解に基づいて、中国の北方民族や北朝の習慣がその後の統一王朝に与えた影響を推測する力が必要であった。
第2問「君主の地位の継承」 (18点・標準)
Aではフランス王家に関する図と家系図、Bではファーティマ朝のカリフの正統性を論じた資料を題材に、問題が展開された。問1では、文章と家系図を参考に、図の意味を考察することが求められた。問6では、2つの資料を参考に、ファーティマ朝のカリフの正統性について考察する必要があった。
第3問「世界史学習に対する疑問や議論」 (24点・標準)
Aではナポレオン、Bでは科挙、Cでは中国における書籍分類の歴史をテーマとした授業形式で展開された。問5では、中国における人材登用の歴史理解をもとに、会話文から読み取れる朝鮮や日本でみられた人材登用制度に関する考えを判断する問題が出題された。問8では、文章から読み取った情報と知識を活用して、中国における書籍分類を判断する力が求められた。
第4問「世界史上の様々な歴史資料」 (24点・やや難)
Aではビザンツ帝国とウマイヤ朝の貨幣の図、Bではマラトンの戦いに関する資料、Cでは中世のブリテン島に関する資料と解説をもとに、テーマに沿った出題がされた。問2では、会話文の読解と知識をもとに、授業内容をもとにしたメモの正誤を判断する必要があった。問3では、アリストテレスと五賢帝の時代の違いから、空欄アとイに入れる語句を考察する問題が出題された。
第5問「歴史統計」 (18点・標準)
Aでは20世紀東南アジア各地の輸出先とその比率、Bではイングランドの都市人口と農村農業人口の比率の統計を題材に、問題が展開された。問1・2は、植民地と宗主国の関係の理解を要する問題であった。問4では、判断に必要な情報を2つの表から読み取ることが求められた。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
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平均点 | 65.83 | 63.49 | 62.97 | 65.36 | 67.97 |
データネット実行委員会 ベネッセコーポレーション/駿台予備学校