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問題講評【世界史A】

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― 欧米史が増加し、会話文や様々な資料の読み取りが重視された。昨年より易化 ―

欧米史の割合が増加し、前近代からの出題がやや増加したものの、近世から戦後までバランスよく出題された。図版や文字資料、グラフなど様々な資料を読み取る力は昨年と同じく求められた。文章を丁寧に読むことで解答が導ける出題もあり、昨年より易化。

1.全体概況

【大問数・解答数】 大問数は4から5に増加し、解答数30個は昨年から変更なし。
【出題形式】 昨年より文章選択問題が17問から13問に減少し、正誤組合せ問題が1問から4問に増加した。昨年出題されなかった地図問題は、1問出題された。グラフや表を用いた問題は、昨年から1問増えて2問出題された。
【出題分野】 時代については、前近代・近世の出題が増加し、近代・戦後の出題が減少した。分野は、文化史と社会経済史の出題が増加したが、政治史中心は昨年と同様だった。地域については欧米史の割合が増加し、アジア史は東アジアが減少し、西アジアの出題が増加した。
【問題量】 昨年並。
【難易】 昨年より易化。

2.大問別分析

第1問「帰国後に社会の変革を志した人物」 (20点・標準) 

Aではエジプトのタフターウィー、Bでは中国の魯迅を題材として、海外から帰国した人が民族運動に与えた影響に関する事項が出題された。問1は、「フランス人の王」と「フランスの王」という称号の違いについて資料から読み取って判断したうえで、資料で扱われている出来事に関連する知識が問われた。問5では、19世紀末以降の日本と中国の関係を時系列でとらえられているかが問われた。

第2問「世界史上の風刺画や教科書」 (20点・標準) 

Aではバルカン戦争の風刺画、Bではフランスの小学校で使用されていた教科書を素材として、国家の独立や統合に関する事項が出題された。問2・3は、授業のようすをもとに、風刺画で描かれている内容を、正確な知識と組み合わせて考察する問題であった。問6では、国民国家形成の過程について、資料をもとに論理的に判断できるかが問われた。

第3問「人やモノの移動と産業の発展」 (20点・やや易) 

Aはガラス、Bはアメリカの移民といった世界史上の人やモノの移動とそれに伴う産業の発展について出題された。問3は、会話文をもとに正確な文章読解と具体的な歴史事項を概念化する力が問われた。問5は、グラフと表から、数値の変化と関連する出来事を読み取る問題であった。

第4問「政治と文化との関係」 (20点・やや易) 

Aはカール5世とフェリペ2世の絵画、Bは中国の近隣諸国の文字を切り口として、前近代と近世を中心として出題された。問3は、二つの絵画に関わる歴史的知識と共通するテーマを結び付ける力が問われた。問4は、西夏文字の特徴と、その成立背景を会話文から考察する問題であった。

第5問「国際秩序の維持」 (20点・標準) 

Aは大西洋憲章、Bはアポロ11号を切り口として、当時の国際秩序について対立と協調を概念的にとらえさせる出題であった。問3では、民族自決という考え方を多面的・多角的に理解しているかが問われた。問6は、核弾頭数のグラフを正確に読み取ったうえで、戦後の世界についてのやや細かい知識が求められた。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2023 2022 2021 2020 2019
平均点 36.32 48.10 46.14 51.16 47.57

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