問題講評 旧倫理,旧政治・経済
今日的なテーマが扱われ資料から考察する問題が多くみられた。難易は昨年並
すべての設問が単独科目「旧倫理」および「旧政治・経済」と共通であった。昨年と同様、倫理分野では、資料から読み取れる思想の比較が問われ、政治・経済分野でも、文章資料や統計など多様な資料を読み取り、正確な知識を活用して考察する問題がみられた。問題難易は昨年並。
1.全体概況
大問数・解答数 | 大問数7で変更なし。解答数は32個で、「倫理」16個、「政治・経済」16個で変更なし。また、「旧倫理、旧政治・経済」の独自の設問はなかった。 |
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出題形式 | 「倫理」および「政治・経済」の両分野ともに、2行以上の文章選択問題が減少した。組合せ問題が増加し、4択の問題が増加した。 |
出題分野 | 「倫理」および「政治・経済」の各分野から幅広く出題された。 |
問題量 | 昨年並。 |
難易 | 問題難易は昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「真の快楽とは何か」 (12点・標準)
「倫理」源流思想分野からの出題。問1は、ユダヤ教・イスラーム・中国思想における欲望についてのやや細かい知識が問われた。問3は、キリスト教における原罪思想について深い理解が求められた。問4は、資料を丁寧に読み取り、思想家2人の快楽についての考え方を対比してとらえることがポイントであった。
第2問「食と倫理」 (12点・標準)
「倫理」日本思想分野から、各時代・分野にわたって幅広く問われた。問3は、安藤昌益についての知識と彼の食に関する資料の正確な読み取りが同時に求められる問題であった。問4は、空海・法然・親鸞・道元についての基本的な知識があれば正答を選ぶことができる。
第3問「労働の意味について」 (12点・やや難)
「倫理」西洋思想分野から、労働をテーマに近代から現代まで幅広く問われた。問1は、宗教改革およびその前後の思想家について、細かい知識が求められた。問2は、ドゥルーズとガタリ、レーニンについて十分な学習をしている必要があった。問3は、シャドウ・ワーク、ケアの倫理という現代社会の諸課題が題材とされ、資料に即して具体例を選ぶ必要があった。
第4問「地域社会における共生」 (14点・標準)
「倫理」青年期分野と現代の諸課題分野について、リード文を読んで答える問題。問3は、記憶についての初見の資料を丁寧に読み取る力が問われた。問4は、リード文と会話文の両方を踏まえて、登場人物の主張として妥当なものを論理的に導くことが求められた。
第5問「経済学とはなにか」 (19点・標準)
「政治・経済」経済分野・国際経済分野からの出題。経済分野から国際経済分野まで多岐にわたって出題された。問1では市場メカニズムの基本である需給曲線について出題された。問4では日本の輸出総額に占めるアメリカ、中国、アジアNIES、ASEANへの輸出割合の推移と、日本の貿易摩擦の変遷の並び替えが、組合せとして出題された。
第6問「国内法と国際法」 (19点・やや難)
「政治・経済」政治分野・経済分野・国際政治分野からの出題。資料問題の出題が目立った。問3では選択的夫婦別姓を題材に、条約と憲法の関係が問われた。問5ではICCの国際犯罪に関する起訴手続きの資料について、時事的な観点から問われた。
第7問「公正な地球社会の実現」 (12点・標準)
「政治・経済」政治分野・経済分野・国際政治分野からの出題。問4は模擬的な国連会議を利用して各国の核軍縮条約についての立場を理解させる問題であった。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
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平均点 | 61.26 | 60.59 | 69.73 | 69.26 | 66.51 |
データネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション