問題講評 旧倫理
文章選択肢の問題が増え、幅広い知識と正確な読解力が求められた。難易は昨年並
大問構成や出題分野は昨年同様であった。組合せ問題では8択が大幅に減少し、7択、9択は昨年同様出題された。原典資料や読解力が求められる問題が増え、受験生は解答に時間を要しただろう。同時に従来のリード文も復活し、細かい知識も求められたが、従来通り取り組みやすい問題もあり、問題難易は昨年並。
1.全体概況
大問数・解答数 | 大問数4、解答数33個は昨年から変更なし。すべての大問で「旧倫理、旧政治・経済」との共通の設問が出題された。 |
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出題形式 | 文章選択問題が増加し、組合せ問題が減少した。組合せ問題では、8択が大幅に減少した。9択は昨年同様1問のみ出題された。昨年より、原典資料が多く用いられた。 |
出題分野 | 昨年同様、特定の分野に偏ることなく幅広く出題され、第1問で源流思想分野、第2問で日本思想分野、第3問で西洋思想分野、第4問で青年期分野と現代の諸課題分野が現代の思想と合わせて出題された。 |
問題量 | 昨年並。 |
難易 | 問題難易は昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「真の快楽とは何か」 (24点・標準)
源流思想分野からの出題。問1は、ユダヤ教・イスラーム・中国思想における欲望についてのやや細かい知識が問われた。問3は、キリスト教における原罪思想について深い理解が求められた。問4は、資料を丁寧に読み取り、思想家2人の快楽についての考え方を対比してとらえることがポイントであった。
第2問「食と倫理」 (24点・標準)
日本思想分野から、各時代・分野にわたって幅広く問われた。問3は、安藤昌益についての知識と彼の食に関する資料の正確な読み取りが同時に求められる問題であった。問5は、空海・法然・親鸞・道元についての基本的な知識があれば正答を選ぶことができる。問6は、設問の『養生訓』から思想家の名前が貝原益軒であることを判断する必要があった。
第3問「労働の意味について」 (24点・やや難)
西洋思想分野から、労働をテーマに近代から現代まで幅広く問われた。問1は、宗教改革およびその前後の思想家について、細かい知識が求められた。問2は、ドゥルーズとガタリ、レーニンについて十分な学習をしている必要があった。問7は、シャドウ・ワーク、ケアの倫理という現代社会の諸課題が題材とされ、資料に即して具体例を選ぶ必要があった。
第4問「地域社会における共生」 (28点・標準)
青年期分野と現代の諸課題分野について、リード文を読んで答える問題。問1は、スチュワードシップの内容を問う問題で、学習が及んでいなかったかもしれない。問6は、記憶についての初見の資料を丁寧に読み取る力が問われた。問9は、リード文と会話文の両方を踏まえて、登場人物の主張として妥当なものを論理的に導くことが求められた。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
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平均点 | 56.44 | 59.02 | 63.29 | 71.96 | 65.37 |
データネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション