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問題講評【日本史B】

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― 「印刷の歴史」「古代の食物」と身近な題材続々。読解力と情報活用力重視で昨年よりやや難化 ―

大問数、解答数に変更はなかった。8世紀から明治にかけての印刷の変遷、古代の食物や調理道具など、日常生活に関するトピックから出題が展開。文章資料に加え、統計グラフ、写真など多彩な資料を通じ、読解力が引き続き求められた。受験生が苦手とする、時期の判断を要するものに加え、知識の定着を前提にした出題も多く、昨年よりやや難化。

1.全体概況

【大問数・解答数】 大問数6、解答数32個は昨年から変更なし。第5問、第6問は日本史Aとの共通問題。
【出題形式】 組合せ形式が中心の出題構成に大きな変動はなく、出題形式もバランスのとれた出題構成であった。木簡や、江戸時代の貿易の様子や国立銀行条例に関する史料など、多様な資料の読解・解釈を求める問いが昨年同様に多かった。
【出題分野】 社会経済史の出題がやや増加。政治史を中心に、分野融合的な問いも含めて、各分野から幅広く出題された。
【問題量】 昨年並。
【難易】 昨年よりやや難化。

2.大問別分析

第1問「印刷の歴史」 (18点・やや難) 

印刷や印刷技術の変遷を題材に展開するリード文をもとに、楽市令の理解や、江戸時代の文芸、近代の印刷・出版などが問われた。問3では、史料1の後半部分において、座の保護の視点を丁寧に読み取る必要があった。

第2問「日本古代の食物」 (16点・やや難) 

古代の食物について、調理道具としての土器、税目としての塩などについて出題された。問5では、生徒がまとめた一覧表の空欄に該当する内容を判断するなかで、各資料の特性や関連事項も含めた学習が必要であった。

第3問「中世社会の特色」 (16点・標準) 

中世社会の特色について調べている高校生の会話をもとに、政治・社会・文化の各分野から出題された。問2では永仁の徳政令の書き下し文と現代語訳された名主・百姓の申状が引用された。会話文にも手がかりを見出して判断することが求められた。

第4問「近世の輸出入品と社会・経済との関係」 (16点・標準) 

近世の輸出入品をめぐる高校生の会話から、商品の名称や輸出入品の推移、そのことによる地域社会の変化などが問われた。問5は京都からもたらされた技術によって農村で織物業が専業化し、地域が変容していく点に注意したい。

第5問「明治に始まった生活様式・社会経済制度」 (12点・標準) 

高校生の研究発表「明治はじめて物語」をもとに展開し、社会経済や外交、文化から幅広く出題された。問2では輸入に関するグラフ読取りから変化や差異の背景を考える必要があった。

第6問「二度の世界大戦後の日本と国際社会」 (22点・やや難) 

発表準備を進める高校生の作成したプリントをもとに、「二度の世界大戦後の日本と国際社会」について外交や政治を中心に出題された。問1はワシントン会議で締結された条約と廃棄された条約を史料から判断するもので、海軍軍縮条約と日英同盟の理解が求められた。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2023 2022 2021 2020 2019
平均点 59.75 52.81 64.26 65.45 63.54

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