問題講評 旧情報
身近な場面を題材とした問題が出題され、基本的な知識と思考力がバランスよく問われた。難易はやや易
全6大問のうち、第2問と第3問、第5問と第6問からそれぞれ1問ずつ選択し、計4問を解答する形式。「情報I」との共通問題に加え、機器の接続や通信速度・通信料の計算などネットワークに関する問題が複数出題された。また、顔認証を利用したセキュリティの問題、図書館利用の活性化についての問題解決など、身近な題材を扱った問題が出題された。
1.全体概況
大問数・解答数 | 試作問題(令和4年度大学入試センター公表)と同様に、大問数は6で、第1問、第4問は必答、第2問と第3問から1大問、第5問と第6問から1大問を選択する形式。 |
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出題形式 | 全体を通して試作問題の形式がほぼ踏襲された。第1問は2中問構成であった。 各大問の配点も試作問題と変わらず。 |
出題分野 | 旧情報の出題範囲から幅広く出題された。第3問ではモバイルルータの料金プランを題材にした、情報のデジタル化に関する出題であった。 |
問題量 | ページ数は44ページ(下書き用紙を除く)。試作問題より3ページ減。 |
難易 | やや易。 |
2.大問別分析
第1問「小問集合」 (35点・易) A問1・2およびBは情報Iと共通
Aでは、問1はデジタル署名の目的と128ビットのIPアドレスが導入された経緯についての基本的な問題、問2は7セグメントLEDで表示できる文字列の種類に関する問題が出された。問3はLANの通信障害の状況から障害の原因となる機器を特定する問題であり、それぞれの機器の通信経路を、順を追って確認できるかが問われた。問4はネットワークディスクとUSBハードディスクの性能に関する問いで、転送速度の比較問題。求められる計算は平易であった。Bでは、商品購入時のレシートに印字された情報をもとにした問題が出された。実用的なテーマであり、解答には特別な知識を必要としなかったが、図に示された情報と商品の流れを正確に把握し、問題文に書かれたネットショッピングについての条件を踏まえて、解答することが求められた。
第2問「モデル化とシミュレーション」 (15点・易) 情報Iと共通
おつりとして渡す千円札を何枚用意するかをシミュレーション結果に基づいて答える問題であった。乱数を含む条件のもとでの複数回のシミュレーション結果にはばらつきが生じるということを理解した上で解く必要があった。問1は、シミュレーションの条件を把握する問いであった。問2はシミュレーション結果を10,000回行った結果のグラフから考察する問題、問3は、初期値(千円札)の枚数を20枚にした場合に、起こるはずがないケースを選ぶ問題であった。おつりを計算するという身近で取り組みやすいテーマであった。
第3問「情報のデジタル化とネットワーク」 (15点・標準)
モバイルルータの料金プランに関する問題。日常的な題材であるが、広告の条件を正確に把握し、条件に従って計算することが求められた。問1・2では、問題の条件設定が理解できているかを問うている。問3では、「データ通信量を節約」する取り組みであることを踏まえること、問4では、定額プランの広告における「利用した1日あたり500円が追加される」という条件の把握がポイントとなる。
第4問「情報セキュリティ」 (25点・標準)
部室の入室管理システムを題材に、情報セキュリティの基礎的な知識から活用までを問う問題が出された。問1~3では情報セキュリティや情報の取り扱いについての基礎的な知識が問われた。問4は与えられたテスト結果のグラフから結果を解釈する問いであった。問5は与えられた条件におけるシステムの動作について、問6ではフローチャートとテスト結果の情報を組み合わせてどのような動作をするかを整理する思考力が問われた。
第5問「プログラミング」 (25点・やや難) 情報Iと共通
工芸部の部員が複数の工芸品を分担して製作するために、規則に基づいて製作物を割り当てて、その結果のメール文面を作成するプログラムを作る過程が問われた。問1はプログラム作成の前段階として、図表から担当者と制作日数を考える内容。問2は配列の要素の大小を比較するもの。問3は問2を踏まえてプログラム全体の流れを考えるものであるが、二つの繰り返しと条件分岐のネストがあり、さらに配列が含まれるプログラムを丁寧に読み解いていく必要があった。プログラムは7行(for-ifの二重ネスト)と11行(for-for-ifの三重ネスト)の二つであり、プログラム自体の複雑さは中程度である。また、添字はどちらも1から始まっているため、配列の処理は考えやすかったと思われる。
第6問「情報社会における問題の解決」 (25点・やや易)
図書館利用の活性化についての問題解決を行う設問。問1・2はブレーンストーミングのルールと結果の整理方法が問われた。問3~5はアンケートの回答形式、表計算ソフトを使用した集計方法、グラフ化と読み取り、問6では自由記述回答形式のデータからテキストマイニングを行い、表と図から情報を読み解く問題が出された。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
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平均点 | - | - | - | - | - |
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