データネット2025 2025年度 大学入学共通テスト 自己採点集計

問題講評 旧地理B

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様々な地理的事象について、確かな知識に基づく思考力が求められた。昨年よりやや難化

統計表、写真などの多様な資料が用いられ、限られた時間のなかで図表読解力と地理的思考力が問われた。写真が撮影された方向を判断するなど、知識を具体的な事象に当てはめて考察する力を求める問題も出題された。正確な知識を求める問題がみられ、問題難易は昨年よりやや難化。

1.全体概況

大問数・解答数 大問数5、解答数30個は、昨年から変更なし。
出題形式 統計表、写真、レーダーチャートなど、多様な資料が扱われた。また、昨年同様、複数の情報の組合せも多く出題された。
出題分野 「世界の島の自然と人間生活」「資源と産業」「人口と都市・村落」「寒冷地域と高山地域の地誌」「北海道のニセコ地区の地域調査」からの出題構成。地誌の大問は昨年同様に1大問であった。
問題量 昨年並。
難易 問題難易は昨年よりやや難化。

2.大問別分析

第1問「世界の島の自然と人間生活」 (20点・やや難) 

世界各地の島の自然と人間生活とのかかわりについての探究活動をテーマに出題された。各地の特徴ある地形や気候を題材とした資料が扱われ、自然環境に関する知識を各地域の具体的な事例と照らし合わせる力が求められた。問1は、大洋に位置するホットスポット、安定地域に位置する海域、狭まる境界に位置する海溝を含む海域であることを読み取って水深を判断する問題であった。問2はマダガスカル島の降水量分布について、気圧帯の南北移動をもとに季節を判別する必要があった。

第2問「資源と産業」 (20点・やや易) 

世界と日本の資源と産業について、様々な統計資料をもとに展開された。受験生になじみのある指標も多く、比較的取り組みやすかったであろう。問6は日本の工業の業種別の生産額割合の変化について出題された。繊維工業の衰退や、機械工業が日本の基幹産業となったことをもとに判断する。日本の工業の特徴の変化と統計資料とを結びつける力が問われた。

第3問「人口と都市・村落」 (20点・標準) 

人口と都市・村落について、日本や世界の様々な地域を取り上げながら出題された。問3は4か国の巨大企業の本社数の変化と首都における巨大企業の本社数から、世界に占める経済活動の変化を考察する問題であった。問4はナイロビ、パリ、メルボルンの景観を撮影した写真のうち、都心周辺部から都心を撮影したものを選択する問題で、途上国における都心とスラムの分布や、パリにおける中心市街地の保全といった各都市の構造物の分布に関する知識から判断できる。全体を通して、基礎的な知識をもとに判断することが求められた。

第4問「寒冷地域と高山地域の地誌」 (20点・やや難) 

受験生にとってなじみの薄い寒冷地域と高山地域の特色への理解が求められた。問1は冬日と真冬日の指標から、気温が低くなる頻度を緯度、隔海度や東西分布といった気候因子から考察する問題であった。問2は、同じ緯度帯に位置する4つの範囲について、気候因子から気候を推定して植生を判断することが求められた。問6は北欧3か国の地形の特徴から、航空と鉄道の乗客数の大小を考察する問題であった。

第5問「北海道のニセコ地区の地域調査」 (20点・標準) 

北海道の倶知安町、ニセコ町、蘭越町からなるニセコ地区の地域調査について、地形図、写真、メッシュマップなど多様な資料が扱われた。資料を丁寧に読み取り、活用する地理的技能が問われた。問2は土地利用に関するメッシュマップを読み取って、3つの町の農畜産物別産出額の大小や生産物の違いを考察する問題であった。問4はRESAS(GIS)を用いたメッシュマップを読み取って、外国人観光客の宿泊滞在地を判断し、該当地域で起こり得る事象を推察する必要があった。問6では、ニセコ地区の観光に関する住民意見にもとづき、今後の施策とその効果を評価する指標が適当であるか判断する論理的思考力が問われた。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2024 2023 2022 2021 2020
平均点 65.74 60.46 58.99 60.06 66.35

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