問題講評【地学基礎】
― 地球の大きさの推定など、探究活動に関する問題が多かった。難易は昨年並 ―
第1問では、離れた地点に住む2人によるエラトステネスの方法の実践に関する計算問題や、柱状図から堆積速度を比較する考察問題が出題された。第2問では、海面水温の図を参考に黒潮の流路を選ぶ問題が出題された。図を用いて思考力や判断力を問う出題が多い傾向は昨年と変わらず、難易は昨年並。
1.全体概況
【大問数・解答数】 | 大問数4、解答数15個は、昨年から変更なし。 |
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【出題形式】 | 語句選択問題を中心に出題された。 |
【出題分野】 | 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。 |
【問題量】 | 昨年並。 |
【難易】 | 昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「地球の形状と活動、地層、鉱物と火山」 (19点・やや易)
Aはエラトステネスの方法を用いて地球の全周の長さを測る問題、プレート境界についての基本的な知識を問う問題であった。Bは鍵層である2枚の凝灰岩層をもとに、二つの地層を対比する問題であった。問4は堆積環境の推定についての判断力を問う問題であった。Cは鉱物と火山についての問題であり、鉱物の形と晶出順、火山体とマグマの性質についての基本的な知識が問われた。問6は火山に関連する言葉をつないだ図を用いて、二つの火山のさまざまな特徴を問う工夫された問題であった。
第2問「地上天気図、黒潮」 (7点・標準)
Aは日本列島を移動性高気圧が通過するのにかかる時間を求める計算問題と、高気圧内部での上下の流れの向きを問う知識問題であった。計算は難しくない。Bは黒潮の流れる経路を問う問題であり、問題文と図を正しく読み取って、黒潮と水温分布との関係を考察する必要があった。
第3問「さまざまな天体」 (14点・標準)
問1・問2では星団や星雲の種類とそれらの特徴についての基本的な知識が問われた。問3は太陽の黒点が黒く見える理由についての基本的な知識を問う問題であった。問4は地球から見たM31の方向を考察する問題で、受験生には見慣れない内容であったと思われるが、問題文を丁寧に読み取れば解答できたであろう。
第4問「日本列島の自然の恵み」 (10点・やや易)
問1は日本の火山の恵みに関する問題で、基本的な内容が問われた。石炭は堆積物起源のものであると気付けば、解答は容易な問題である。問2ではセメントの原料である石灰岩や結晶質石灰岩の成因についての基本的な知識が問われた。問3は日本における降水をもたらす気象現象に関する基本的な問題で、梅雨前線の種類を知っているかが問われた。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
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平均点 | 35.47 | 33.52 | 27.03 | 29.62 | 34.13 |
データネット実行委員会 ベネッセコーポレーション/駿台予備学校