問題講評 地学基礎
知識と図表にもとづいて災害について考察する問題が複数出題された。昨年よりやや難化
第4問では、自然災害や地球温暖化について時間・空間スケールを問う問題が出題され、津波堆積物や地震災害についても問われた。知識と図表から過去のできごとを推定したり、起こり得ることがらについて考察したりする幅広い問題が出題された。また、6択以上の問題が大幅に増加した。難易は昨年よりやや難化。
1.全体概況
大問数・解答数 | 大問数4、解答数15個は、昨年から変更なし。 |
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出題形式 | 語句選択問題を中心に出題された。6択以上の問題が大幅に増加した。 |
出題分野 | 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。 |
問題量 | 昨年と比べて増加。昨年14ページであったページ数は19ページになった。 |
難易 | 昨年よりやや難化。 |
2.大問別分析
第1問「太陽系天体の性質や地球の構造、火成岩と火山、堆積構造」 (20点・標準)
Aの問1は太陽系の惑星や衛星の特徴、問2はプレートの収束境界に関する出題であり、いずれも基本的な知識が問われた。Bの問3では火成岩の分類について問われた。問4では火山災害に関して問われ、大気の構造に関する知識も必要とされる目新しい出題であった。Cは堆積構造に関する出題であり、問5は堆積構造の写真を選択する問題であった。問6は水流の方向の復元に利用できる堆積構造を選択する問題で、正確な知識と理解が問われた。
第2問「大気と海洋」 (10点・標準)
問1は放射冷却に関する出題であり、放射冷却が起こる要因とその時の天気図を選択する問題であった。問2は、降水量と蒸発量の図から大気中の水蒸気輸送の向きを判断する問題で、グラフから情報を読み取る力が求められた。問3は、外洋の海水の平均塩分と、塩分が高くなる要因に関する基本的な知識が問われた。
第3問「宇宙の進化、銀河系(天の川銀河)の構造」 (10点・標準)
Aは宇宙の進化についての基本的な知識問題であった。問1では宇宙の進化の順を問うており、正確な知識が求められた。問2は宇宙の晴れ上がりについての問題であり、光が自由に直進できるようになった正確な理由を理解しておく必要があった。Bは銀河系の構造に関する問題であり、銀河系内での太陽の位置と地球から見たときの銀河系の見え方が問われた。銀河系の構造については、一部の教科書には扱いがなく、戸惑った受験生もいたと思われる。
第4問「自然災害や人為起源の現象」 (10点・標準)
自然災害や人為起源の現象についての考察問題であった。問1は、知識にもとづいてさまざまな現象の空間スケールと時間スケールを考察する問題であった。問2は、津波堆積物を含む地層の柱状図をもとに読み取れることがらについて考察する問題であった。問3は、地震活動やそれに伴う自然災害に関する基本的な知識と図を組み合わせて考察する問題であった。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
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平均点 | 35.56 | 35.03 | 35.47 | 33.52 | 27.03 |
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