問題講評【物理基礎】
― 風力発電の探究活動を題材に、発電と送電のしくみについて問われた。難易は昨年並 ―
風力発電についての探究活動を題材に、送電と変圧器のしくみについて問われ、日常や社会を意識した出題がみられた。また、自由落下、鉛直投げ上げされた小球について、床に到達する時点での運動エネルギーの大小を定性的に判断させる問題が目新しい。難易は昨年並。
1.全体概況
【大問数・解答数】 | 大問数3、解答数16個は、昨年から変更なし。 |
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【出題形式】 | 語句・文章選択問題を中心に出題された。 |
【出題分野】 | 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。 |
【問題量】 | 昨年並。 |
【難易】 | 昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「小問集合」 (16点・標準)
物体の運動とエネルギー、熱、波の各分野から出題された。問2は、おもりを付けたばねの弾性力による位置エネルギーを比較する問題で、ばね定数の大小について考察する必要がある。問3は、気体が閉じ込められた容器をお湯につけて、気体の膨張を考察させる問題で、熱力学第一法則を適用する力が問われた。問4は、ギターをおんさで調律する問題で、倍音と基本音、うなりの回数と振動数の関係など、弦の固有振動についての総合的な理解ができていたかで、差がついたであろう。
第2問「物体の運動とエネルギー」 (18点・標準)
前半は、水平投射の実験に関する問題であり、水平方向と鉛直方向の運動の違いを理解しているかがポイントであった。問3は、初速度の大きさを変えて床に到達したときの時間、速さを考察させる問題であった。後半は、同時に床に到達する場合の自由落下と鉛直投げ上げを比較させる問題であった。問4は、初速度の大きさを計算させる問題であった。問5は、それぞれの運動の最高点の高さの比較から、床に到達する時点での運動エネルギーの大小関係を定性的に判断させる問題であった。
第3問「エネルギーとその利用、電気」 (16点・標準)
前半は、再生可能エネルギーを題材に、エネルギーの利用と電気に関する出題であった。問2は、風力発電の出力(電力)と風速の関係を表すグラフから読み取った電力と、一般家庭の1日の消費電力量を比較させる問題であった。電力と電力量の関係を理解しているかがポイントであった。後半は、電気と磁気の分野から、送電線による電力輸送、変圧器のしくみに関する基本的な出題であった。問3は、電力損失について正しく理解し、問題文の内容をもとに計算する必要があった。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
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平均点 | 30.40 | 37.55 | 33.29 | 30.58 | 31.32 |
データネット実行委員会 ベネッセコーポレーション/駿台予備学校