問題講評【物理】
― 落下運動やコンデンサーに関する探究活動の問題が出された。難易は昨年並 ―
空気中での落下運動やコンデンサーの充電と放電に関する探究活動の問題が出された。グラフの縦軸・横軸の選び方を工夫して関係を見出す手法や加速度の大きさを求めるための手順を問う点、実験データからより正確な電気容量を推定するための解析方法の工夫を問う点は目新しい。難易は昨年並。
1.全体概況
【大問数・解答数】 | 大問数4、解答数24個は、昨年から変更なし。 |
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【出題形式】 | 語句・文章選択問題を中心に出題された。 |
【出題分野】 | 昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。 |
【問題量】 | 昨年と比べて増加。昨年24ページであったページ数は28ページになった。 |
【難易】 | 昨年並。 |
2.大問別分析
第1問「小問集合」 (25点・標準)
波動を除く各分野から出題され、基本的な事項についての理解が問われた。問3は、滑ってきたブロックが水平な氷の上のそりに移るときに、そりが固定されている場合と、そりが固定されていない場合について、全体の運動量と力学的エネルギーの保存を問う定性的な問題であった。問4は、一様な磁場中での正と負の荷電粒子が行う円運動の向きと半径を問う問題で、ローレンツ力の向きと円運動についての深い理解が求められた。
第2問「力学」 (25点・標準)
アルミカップを題材にした空気の抵抗力に関する探究活動の問題であった。問2は測定結果をふまえた速度の数値計算の問題、問3はグラフから予想と結果が異なる根拠を問う問題であった。問4は、空気の抵抗力の大きさが速さの2乗に比例することを、グラフの縦軸・横軸の選び方を工夫して調べる手法に関する問題であった。問5は、v-tグラフ上の各測定点から加速度の大きさを調べる問題で、実験データから関係を見出すための手順が問われた。
第3問「波動」 (25点・標準)
斜め方向のドップラー効果についての問題であった。前半は音源が等速円運動、後半は観測者が等速円運動する設定で、音源と観測者を結ぶ方向の円運動の速度成分に着目することがポイントであった。問1は、円運動の向心力の大きさと仕事を問う力学の問題であった。問2は、音源の速度が観測者の方向に成分を持たない位置を答えればよい。問4は、観測者の速度の方向が音源の方向に一致したとき、観測者が観測する振動数が最大または最小になることに気づけたかがポイント。
第4問「電磁気」 (25点・やや難)
平行平板コンデンサーの電気容量に関する理論と実験の問題であった。問1は、理論の問題で、コンデンサーの極板間の電場と電気力線の本数の関係から電気容量を求める問題であった。問2以降は、コンデンサーの充電と放電の実験から電気容量を求める問題であった。指数関数的な変化をする実験データの扱い、実験データからより正確な電気容量を推定するための解析方法の工夫に関する問題は目新しい。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
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平均点 | 60.72 | 62.36 | 60.68 | 56.94 | 62.42 |
データネット実行委員会 ベネッセコーポレーション/駿台予備学校