問題講評【旧化学I】

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― 難解なグラフ問題や計算問題が出題された。昨年より難化 ―

1.全体概況

【大問数・解答数】 大問数は昨年と同様に4大問。解答数は昨年より4個減少し29個。
【出題形式】 例年と同様に、小問形式で出題された。文章選択問題、語句選択問題がともに減少(10→9、15→10)した。また、組合せ問題が増加(4→6)した。
【出題分野】 特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。
【問題量】 4択、5択の問題が減少(3→1、19→11)し、6択の問題が7個増加(8→15)した。8択の問題も2個出題された。また、ページ数は昨年に比べて1ページ増加(22→23)した。
【難易】 問題難易は昨年より難化。

2.大問別分析

第1問「物質の構成」 (25点・標準) 

問1は例年と同様にa・b形式であった。計算問題は3問だった。問1bは炭素原子数を比べる物質量の計算問題。問4で、例年出題されている密度を用いた計算問題が、今年は文字式を用いた濃度計算だった。問5では気体反応に伴う体積変化から反応量を求める計算問題が出題された。価電子の数、実験方法、身のまわりの物質も出題された。また、「化学」と一部で共通問題がみられた。

第2問「物質の変化」 (25点・やや難) 

問1、2で熱化学が出題されたが、どちらも目新しく、エネルギーの関係について深い理解が必要で難易度が高い。問3の中和滴定の問題は、塩基の水溶液に酸を滴下するもので受験生にとってなじみが薄く、またビュレットの目盛りを正しく読み取る力が問われた。問4、問5の電気分解、酸化還元は例年並みの難易度であるが、酸化還元も滴定の計算問題として出題された。また、「化学」と一部で共通問題がみられた。

第3問「無機物質」 (25点・やや難) 

解答数が昨年の7個から8個に増加。問1では、14族元素に関するやや細かい知識が問われた。また、問3では有機化学の知識も必要だった。問5は2種類の気体の発生量から混合物中の金属の物質量比を求める問題で、難しかった。問6は鉄くぎの実験に関する問題で、1994年度のセンター本試験に類題があった。酸化還元の正確な理解が必要で、思考力を要した。また、「化学」と多くの共通問題があった。

第4問「有機化合物」 (25点・標準) 

解答数が昨年の11個から7個に減少した。また、8択問題が2題あった。実験装置図が出てくる問題がなかった。問1は化学式が与えられていないため、難しい。問2の異性体を数える問題は難易度が高い。問3は5種類の化合物のいずれにもあてはまらないものを選ぶ形式で、目新しいものだった。問6は芳香族化合物の分離の問題であるが、問い方が珍しく受験生は戸惑う可能性がある。また、「化学」と一部で共通問題がみられた。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度20142013201220112010
平均点 69.42 63.67 65.13 56.57 53.79

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