問題講評【旧物理I】

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― 測定器の原理を題材とした問題が複数出題された。昨年よりやや難化 ―

1.全体概況

【大問数・解答数】 大問数は昨年と同様に4大問。解答数は昨年と同じ22個。
【出題形式】 昨年に比べて文字式の選択問題が増加(9→13)し、図の選択問題が無くなった(1→0)。また、7択以上の問題が増加(1→5)し、4択の問題が減少(7→2)した。
【出題分野】 特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。
【問題量】 昨年に比べて問題ページ数が減少(22→21)した。
【難易】 問題難易は昨年よりやや難化。

2.大問別分析

第1問「小問集合」 (30点・標準) 

力とエネルギー、波、電気の分野から幅広く出題された。問1、問6が「物理」と共通であった。問1は、日常生活で見られるさまざまな物理現象の中から波の回折現象を選ぶ問題。問2では、水力発電を題材にして、与えられた条件をもとに得られる電力の大小関係が問われた。問3は、電流の測定値から電極に流れ込む電子の個数を求める問題。電流の大きさの定義を正しく理解しているかがポイントである。問4は、円柱形の物体を水に浮かべたとき、水面から上に出ている部分の高さを求める問題。物体にはたらく重力と浮力のつりあいの関係から考える。問5は、凸レンズを通ってできた太陽の実像の直径を求める問題。問6は、細い棒の端につないだ糸の張力を求める問題。力のモーメントのつりあいより考える。

第2問「電気」 (20点・標準) 

Aは、電流計を素材とし、電気に関する幅広い内容からの出題。問1では、電流が磁場から受ける力について問われた。電流計の動作原理を理解させる問題。問2は、電流計のコイルの抵抗率に関する数値計算の問題。問3では、直列接続が問われた。Bは、電圧−電流グラフを素材とした回路の問題。問5では、与えられたグラフを適切に読み取れるかがポイントである。

第3問「波」 (20点・やや難) 

「物理」と共通問題であった。Aは、波の屈折に関する出題で、問題文の中で示された物理量の関係式を求める問題であった。Bは、水面波の干渉に関する問題であった。波源により生じる波が逆位相であることに注意する必要がある。問い方や題材が目新しく、受験生は戸惑ったであろう。

第4問「運動とエネルギー」 (30点・やや難) 

Bが「物理」と共通問題であった。Aは、粗い斜面上を小物体がすべる運動についての出題。問2は、各区間のv-tグラフの面積と変位がそれぞれ等しいことに気がつくと短時間で解答できる。Bは、ばねにはさまれた小球を引き上げる題材で、ばねののび、手がする仕事を計算させた。のびや小球の高さを正しくつかむことが必要。Cはシリンダーとピストンに閉じ込められた気体の問題。使用する物理法則は簡単。問6は、計算量は多い。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度20142013201220112010
平均点 61.64 62.70 68.03 64.08 54.01

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