問題講評【物理基礎】
1.総評
- 【2015年度センター試験の特徴】
-
見慣れた題材が多く、物理基礎の基本を中心に全範囲から幅広く出題。難易は標準
大問数は3で、物理基礎の全範囲から幅広く出題された。また、「旧物理I」で扱われていたような見慣れた題材が多かった。今年の問題の特徴としては、原子力発電を題材とした出題があったことや、計算力を必要とする問題は少なかったことなどが挙げられる。
2.全体概況
【大問数・解答数】 | 大問数は3。全問必答。解答数は13個。 |
---|---|
【出題形式】 | 数値選択問題と文字式選択問題を中心に出題された。8択、9択の問題がそれぞれ3設問ずつ出題された。 |
【出題分野】 | 特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。 |
【問題量】 | 13ページ。 |
【難易】 | 標準。 |
3.大問構成
第1問 | |||
---|---|---|---|
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
小問集合 | 20点 | 標準 | |
第2問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
波、電気 | 15点 | 標準 | A 波の伝わり方 B 抵抗の接続 |
第3問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
運動とエネルギー | 15点 | 標準 | A ばねの弾性力と弾性エネルギー B なめらかな斜面上での小物体の運動 |
4.大問別分析
第1問「小問集合」
・運動とエネルギー、熱、波、電気、エネルギーの利用の各分野から1問ずつ出題された。
・問1は、摩擦電気を題材として、電荷のあいだにはたらく力の向きを問う問題であった。異種の電荷のあいだには引力、同種の電荷のあいだには反発力がはたらくという基本的な内容の理解が問われた。
・問2は、高温の物体から得た熱量と低温の物体へ放出した熱量を用いて熱効率を表した式を問う問題であった。熱機関の熱効率の定義が理解できていること、および熱機関がする仕事を熱量を用いて正しく表すことができるかどうかがポイントである。
・問3は、自転車の等加速度直線運動を題材として、加速度の大きさ、および移動距離を求める問題であった。等加速度直線運動の公式を適用する力が問われた。
・問4では、弦の定常波(定在波)を題材として、固有振動の倍振動についての理解が問われた。250Hzから徐々に大きくしていき、はじめて定常波が現れるのは、3倍振動のときであることに気がつくかどうかがポイントである。
・問5は、原子力発電に関する問題であった。今日のエネルギー・環境問題を意識した出題である。
・問1は、摩擦電気を題材として、電荷のあいだにはたらく力の向きを問う問題であった。異種の電荷のあいだには引力、同種の電荷のあいだには反発力がはたらくという基本的な内容の理解が問われた。
・問2は、高温の物体から得た熱量と低温の物体へ放出した熱量を用いて熱効率を表した式を問う問題であった。熱機関の熱効率の定義が理解できていること、および熱機関がする仕事を熱量を用いて正しく表すことができるかどうかがポイントである。
・問3は、自転車の等加速度直線運動を題材として、加速度の大きさ、および移動距離を求める問題であった。等加速度直線運動の公式を適用する力が問われた。
・問4では、弦の定常波(定在波)を題材として、固有振動の倍振動についての理解が問われた。250Hzから徐々に大きくしていき、はじめて定常波が現れるのは、3倍振動のときであることに気がつくかどうかがポイントである。
・問5は、原子力発電に関する問題であった。今日のエネルギー・環境問題を意識した出題である。
第2問「波、電気」
・Aは、波の伝わり方に関する出題であった。
・問1は、x軸に沿って伝わる正弦波について、y-xグラフより、波の速さと波の伝わる向きを読み取る力を問う問題であった。問題文に示された条件から、x軸の負の向きに伝わる波であることを読み取る必要がある。x軸の負の向きに伝わる波の速度については、1997年度センター試験物理IB第4問問4でも問われていた。
・問2は、波の周期を求める問題であった。周期は、波の基本式から、もしくはy-xグラフからも求めることができる。
・Bでは、抵抗を流れる電流や消費電力についての基本的な理解が問われた。
・問3は、直列接続、および並列接続した三つの抵抗について、そのうちの一つの抵抗に流れる電流をそれぞれ求める問題で、基本的な内容である。
・問4は、問3のそれぞれの接続の場合において、消費電力が最も大きい抵抗を求める問題であった。直列接続、並列接続の性質が理解できていれば、数値計算しなくとも抵抗の消費電力の大小を比較することができる。
・問1は、x軸に沿って伝わる正弦波について、y-xグラフより、波の速さと波の伝わる向きを読み取る力を問う問題であった。問題文に示された条件から、x軸の負の向きに伝わる波であることを読み取る必要がある。x軸の負の向きに伝わる波の速度については、1997年度センター試験物理IB第4問問4でも問われていた。
・問2は、波の周期を求める問題であった。周期は、波の基本式から、もしくはy-xグラフからも求めることができる。
・Bでは、抵抗を流れる電流や消費電力についての基本的な理解が問われた。
・問3は、直列接続、および並列接続した三つの抵抗について、そのうちの一つの抵抗に流れる電流をそれぞれ求める問題で、基本的な内容である。
・問4は、問3のそれぞれの接続の場合において、消費電力が最も大きい抵抗を求める問題であった。直列接続、並列接続の性質が理解できていれば、数値計算しなくとも抵抗の消費電力の大小を比較することができる。
第3問「運動とエネルギー」
・Aは、ばねの弾性力と弾性エネルギーについての理解を問う問題であった。
・問1は、ばねの両端に力を加えて伸ばしたときの、ばねの伸びを求める問題であった。ばねが伸びているときには、その両端には大きさが同じで逆向きの力がはたらいているということが理解できていなければ、解答に戸惑う問題である。
・問2は、ばねを伸ばすときに、両端に加えた力がした仕事を求める問題であった。ばねを伸ばすために加えた力がした仕事の分だけ、ばねの弾性エネルギーが変化することに気がつくかどうかがポイントである。
・Bでは、なめらかな斜面上での小物体の運動を題材として、力学的エネルギー保存則などの基本的な理解が問われた。
・問3では、小物体が斜面を滑り落ちるときの速度の時間変化のグラフが問われた。小物体が等加速度直線運動になることを見抜くことができれば、容易に解答できる。
・問4は、なめらかな斜面上でそれぞれ異なる初速度を小物体に与えたときの、ある位置を通過する際の各小物体の速さの大小関係を問う問題であった。小物体の力学的エネルギーが一定に保たれることに着目できれば、正答を得やすい。
・問1は、ばねの両端に力を加えて伸ばしたときの、ばねの伸びを求める問題であった。ばねが伸びているときには、その両端には大きさが同じで逆向きの力がはたらいているということが理解できていなければ、解答に戸惑う問題である。
・問2は、ばねを伸ばすときに、両端に加えた力がした仕事を求める問題であった。ばねを伸ばすために加えた力がした仕事の分だけ、ばねの弾性エネルギーが変化することに気がつくかどうかがポイントである。
・Bでは、なめらかな斜面上での小物体の運動を題材として、力学的エネルギー保存則などの基本的な理解が問われた。
・問3では、小物体が斜面を滑り落ちるときの速度の時間変化のグラフが問われた。小物体が等加速度直線運動になることを見抜くことができれば、容易に解答できる。
・問4は、なめらかな斜面上でそれぞれ異なる初速度を小物体に与えたときの、ある位置を通過する際の各小物体の速さの大小関係を問う問題であった。小物体の力学的エネルギーが一定に保たれることに着目できれば、正答を得やすい。
5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | ― | ― | ― | ― | ― |
6.センター試験攻略のポイント
・今年同様に、物理基礎の全範囲から幅広く出題されることが予想される。教科書を中心に基本的な内容をまんべんなく理解しておくことが大切である。特に、今年の第1問問5のようなエネルギー・環境問題を扱った問題も引き続き出題されることが予想されるので注意しておきたい。また、学習した内容は、典型的な問題の演習を通じて確実に定着させておきたい。・今年の第2問Aのような、与えられた図や問題文を読み取る力を要する問題も、引き続き出題されることが予想される。センター試験の過去問やその類題の演習を通じて、与えられた題材を読み取る力を養っておきたい。
データネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション