問題講評【旧数学II・B】

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― 2年間出題のなかった三角関数が目新しい形で出題された。難易は昨年より難化 ―

1.全体概況

【大問数・解答数】 昨年同様、大問数は6。第1問、第2問が必答で、第3問〜第6問から2問選択。
【出題形式】 昨年から変更なし。
【出題分野】 昨年通り、数学IIの分野が60点分、数学Bの分野が40点分の出題。第1問では、2年間出題がなかった三角関数が出題された。
【問題量】 昨年並。
【難易】 昨年より難化。

2.大問別分析

第1問「三角関数、指数関数、式と証明」 (30点・難)  数学II、数学II・Bと共通

〔1〕は、三角関数で表された座標を持つ2点P、Qに関する問題。(1)は三角関数の計算と加法定理を用いた最大値の問題で、(2)は原点OとP、Qが一直線上に並ぶ条件を考える問題である。(3)は∠OQPが直角である条件からOQの長さを求め、(1)を利用すればよい。P、Qの位置関係を図形的に考えられるかどうかがポイントであった。〔2〕(1)は指数を用いて表された連立方程式を解く問題で、計算力が必要であった。(2)は相加平均・相乗平均の大小関係を用いてx+yの最小値を求める問題であった。(1)の計算が確実にできたかどうかがポイントであった。

第2問「微分法・積分法」 (30点・標準)  数学II、数学II・Bと共通

(1)は定義に従って微分係数を求める問題である。(2)の前半は、曲線上の点Pにおける接線lと、接線とx軸との交点Qを通るlと垂直な直線mの方程式を求める問題。(2)の後半は、指示された三角形の面積Sと曲線とで囲まれた図形の面積Tを求め、最後はS-Tの最小値を求める問題である。(1)が近年にない出題形式であった以外は、全体として標準的な問題であった。

第3問「数列」 (20点・難)  数学II・Bと共通

2のn乗の一の位で定義された数列の項を列挙し周期を求め、その数列を含む漸化式で定義された数列の和や積を求める問題。丁寧な誘導がされているが、見慣れない漸化式なので難しい。(2)以降では、誘導に従って解きながら数列の周期性に気付き、4項ずつの組にして考えればよいと見抜けたかがポイントであった。

第4問「ベクトル」 (20点・やや難)  数学II・Bと共通

1辺の長さと角度が与えられたひし形と4点を素材にし、垂直条件、一次独立を用いて、定点の位置ベクトルを求め、三角形の面積比を求める平面ベクトルの問題。 基準となるベクトルの1つが対角線であったためやや難しかった。点Qが線分BCの外分点であることは図を正確にかけばわかるが、ベクトルOQをベクトルaとベクトルbで表すと、ベクトルaの係数が負になることに戸惑った受験生もいたと思われる。

第5問「統計とコンピュータ」 (20点・標準) 

20人の生徒の英語と数学の得点について考察する問題。前半は、一部のデータから平均値、得点の合計、偏差の合計、相関係数を求めさせる問題で、基本的な知識が定着していたかが重要であった。後半は、度数分布についての表について、変換した変量の平均値、分散、ヒストグラム、相関関係に関する問題。変量を変換したときに平均値や分散などがどのように変化するかを正しく把握できたかどうかがポイントであった。

第6問「数値計算とコンピュータ」 (20点・標準) 

ユークリッドの互除法を素材とした問題。プログラム1は、商の列と余りの列を求め、プログラム2は、プログラム1で求めた商と余りの列からもとの分数を求める。誘導に従っていけば、取り組みやすい問題であった。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度20142013201220112010
平均点 53.94 55.64 51.16 52.46 57.12

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