問題講評【数学II】
1.総評
- 【2015年度センター試験の特徴】
-
誘導に従って解く問題が多かった。計算力が必要な出題があったが、難易は昨年並
昨年同様に大問数は4で全て必答問題。第1問で三角関数、第3問で図形と方程式が出題され、2012年度までの大問構成に戻った。問題量は昨年並であったが、計算力を必要とする問題が多かった。また、誘導に従って解き進める力が求められた。全体の難易は昨年並。
2.全体概況
【大問数・解答数】 | 昨年同様、大問数は4ですべて必答。第1問、第2問は数学II・B、旧数学II・Bとの共通問題。 |
---|---|
【出題形式】 | 昨年から変更なし。 |
【出題分野】 | 数学II全分野から幅広く出題。第1問で三角関数が、第3問で図形と方程式が出題され、2012年度までの大問構成に戻った。 |
【問題量】 | 問題量、計算量とも昨年並。 |
【難易】 | 昨年並。 |
3.大問構成
第1問 | |||
---|---|---|---|
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
三角関数、指数関数、式と証明 | 30点 | 難 | 〔1〕座標平面上の三角関数で表された2つの点の位置関係 〔2〕指数の連立方程式と相加平均・相乗平均の大小関係 |
第2問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
微分法・積分法 | 30点 | 標準 | 微分係数の定義、2次関数の接線、法線、放物線と接線で囲まれた部分の面積 |
第3問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
図形と方程式 | 20点 | 標準 | 直線に関する対称点と内分点 |
第4問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
式と証明・複素数と方程式 | 20点 | 標準 | 3次方程式の解、2次方程式の解と係数の関係 |
4.大問別分析
第1問〔1〕「三角関数」
●座標平面上における三角関数で表された2つの点の位置関係について考察する問題。センター試験では見慣れないテーマであり、慣れていない受験生にとっては解きづらかったと思われる。
●(1)は三角関数の計算と最大値を求める問題であるが、加法定理の逆を用いて式変形をする必要がある。日ごろからこのような式変形を練習できていたかどうかで差がついたと考えられる。
●(2)は3点O、P、Qが一直線上に並ぶ条件を考える問題である。前半はOPの傾きから直線の式を求め、その式に点Qの座標を代入すること、後半は(1)と同じ加法定理の逆を用いた式変形をすることに気づけたかどうかがポイントであった。
●(3)は条件を整理して∠OQPが直角である図をかくと、(1)で求めた線分の長さを利用してOQの長さを求めることができる。その後(1)で求めた式にOQを代入して解き進めればよい。
●問題量、計算量は昨年並であるが、誘導に従って三角関数を変形していく部分が難しく、昨年よりも難化した。
●(1)は三角関数の計算と最大値を求める問題であるが、加法定理の逆を用いて式変形をする必要がある。日ごろからこのような式変形を練習できていたかどうかで差がついたと考えられる。
●(2)は3点O、P、Qが一直線上に並ぶ条件を考える問題である。前半はOPの傾きから直線の式を求め、その式に点Qの座標を代入すること、後半は(1)と同じ加法定理の逆を用いた式変形をすることに気づけたかどうかがポイントであった。
●(3)は条件を整理して∠OQPが直角である図をかくと、(1)で求めた線分の長さを利用してOQの長さを求めることができる。その後(1)で求めた式にOQを代入して解き進めればよい。
●問題量、計算量は昨年並であるが、誘導に従って三角関数を変形していく部分が難しく、昨年よりも難化した。
第1問〔2〕「指数関数、式と証明」
●指数法則を用いてx、yについての連立方程式を解き、相加平均・相乗平均の大小関係からx+yの最小値を求める問題。
●指数をテーマにした連立方程式の出題は目新しい。問題の誘導に従いながら計算をしていくが、指数法則の正確な理解と計算力が求められた。
●両辺を2乗、3乗するなどして根号をはずす形に式変形をし、(1)の計算を確実に行えたかどうかがポイントであった。
●問題量は昨年並であるが、計算量が多く、複雑であったため、昨年よりも難化した。
●指数をテーマにした連立方程式の出題は目新しい。問題の誘導に従いながら計算をしていくが、指数法則の正確な理解と計算力が求められた。
●両辺を2乗、3乗するなどして根号をはずす形に式変形をし、(1)の計算を確実に行えたかどうかがポイントであった。
●問題量は昨年並であるが、計算量が多く、複雑であったため、昨年よりも難化した。
第2問「微分法・積分法」
●(1)は定義に従って微分係数を求める目新しい問題であった。定義を正しく理解できていたかがポイントであった。
●(2)の前半は、曲線上の点Pにおける接線lと、接線とx軸との交点Qを通り、lと垂直な直線mの方程式が問われたが、微分法の基本的な知識が定着していれば取り組みやすかったであろう。
●(2)の後半は、指示された三角形の面積Sと曲線、線分およびy軸で囲まれた図形の面積Tを求め、最後はS-Tの最小値を求める問題。Sを求めるとき、辺の長さを求めると煩雑になるので、台形から三角形の面積を引いて考えるとよい。図を丁寧にかき、図形の位置関係を正確に把握して計算できたかどうかがポイントであった。
●微分係数の定義を問う部分は目新しかったが、全体としては標準的な問題であった。文字を含んだまま計算をするので正確な計算が求められた。
●問題量、計算量はやや昨年より増加したが、難易は昨年並であった。
●(2)の前半は、曲線上の点Pにおける接線lと、接線とx軸との交点Qを通り、lと垂直な直線mの方程式が問われたが、微分法の基本的な知識が定着していれば取り組みやすかったであろう。
●(2)の後半は、指示された三角形の面積Sと曲線、線分およびy軸で囲まれた図形の面積Tを求め、最後はS-Tの最小値を求める問題。Sを求めるとき、辺の長さを求めると煩雑になるので、台形から三角形の面積を引いて考えるとよい。図を丁寧にかき、図形の位置関係を正確に把握して計算できたかどうかがポイントであった。
●微分係数の定義を問う部分は目新しかったが、全体としては標準的な問題であった。文字を含んだまま計算をするので正確な計算が求められた。
●問題量、計算量はやや昨年より増加したが、難易は昨年並であった。
第3問「図形と方程式」
●平面上の点Aについて、直線に関する対称点と内分点を求め、最終的に求めた点の原点からの距離を考察する問題。
●(1)はx軸、(2)はy=2xに関して点Aと対称な点を誘導に従って求めていき、(3)は内分点の座標を公式に当てはめて求める。いずれも方針は立てやすいが文字が多く、丁寧な計算をする必要がある。
●(4)は(3)で求めたOAとODの関係から、半径の比を求めることに気づけるかどうかがポイントであった。
●全体として、図を利用して考察する力と、複数の文字を扱う計算力が求められた。
●問題量、計算量は昨年並であった。
●(1)はx軸、(2)はy=2xに関して点Aと対称な点を誘導に従って求めていき、(3)は内分点の座標を公式に当てはめて求める。いずれも方針は立てやすいが文字が多く、丁寧な計算をする必要がある。
●(4)は(3)で求めたOAとODの関係から、半径の比を求めることに気づけるかどうかがポイントであった。
●全体として、図を利用して考察する力と、複数の文字を扱う計算力が求められた。
●問題量、計算量は昨年並であった。
第4問「式と証明・複素数と方程式」
●(1)は与えられた虚数解をもつ3次方程式の係数と他の解を求める問題。与えられた虚数解を3次方程式P(x)に代入して計算し、aとbの値を求めていけばよいが、与えられた虚数解と共役な複素数も解になることを利用してP(x)を求めることもできる。
●(2)は3つの負の実数解をもつ3次方程式についての問題。与えられた条件から解と係数の関係を用いて連立方程式を立て、それを正しく計算する力が求められた。
●全体として、誘導に従って正確に計算をし、解き進めていく力が求められた。
●問題量、計算量は昨年並であった。
●(2)は3つの負の実数解をもつ3次方程式についての問題。与えられた条件から解と係数の関係を用いて連立方程式を立て、それを正しく計算する力が求められた。
●全体として、誘導に従って正確に計算をし、解き進めていく力が求められた。
●問題量、計算量は昨年並であった。
5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 32.80 | 26.19 | 26.03 | 31.73 | 35.94 |
6.センター試験攻略のポイント
●数学II全分野から幅広く出題されるので、まずは教科書等で各分野の基本事項をおさえておくことが大切である。●2015年度は計算力が求められる出題であった。日ごろの演習で解答時間や計算の工夫を意識し、限られた時間ではやく正確な処理を行えるようにしたい。
●2015年度は誘導に従って解く問題が特に多かった。見慣れない問題であっても、与えられた条件や前設問をうまく使うことを意識して問題に取り組みたい。
●毎年図を用いて考える問題が出題されるので、日ごろから図をかいて問題を解く習慣をつけておくことが大切である。
●2015年度の第1問のようにかなり難しい問題が出題される年もあるので、基本事項をおさえた上でレベルの高い問題にも取り組んでおきたい。
●来年のセンター試験は新課程2年目となり、今回とは大問構成や出題内容が大きく変更する可能性がある。特に、二項定理や3次式の積分など、新課程になって履修範囲となった項目が出題される可能性もある。これまで解いたことがないような問題が出題されたとしても、落ち着いて題意を正しく読み取り、与えられた誘導の意図を考えながら、正確な立式や計算ができるように日ごろから練習を積んでおきたい。
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