データネット2020 2020年度 大学入試センター試験 自己採点集計

問題講評【国語】

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1.総評

【2020年度センター試験の特徴】 

全体的に文章量が減少、漢文でイラストを選択する設問が出題された。難易は昨年並

全体的に本文の分量が減少し、設問数・解答数も減少した。漢文は詩単独での出題だった。評論では、本文の趣旨に関する対話形式の設問が、漢文では五言詩に描かれた情景についてイラストを選ぶ設問が出題。昨年同様、各大問とも文章全体の趣旨や主題を把握する力が求められた。難易は昨年並。

2.全体概況

【大問数・解答数】 大問数4、各大問の配点50は昨年から変更なし。設問数は漢文で1問減り、全体として1問減(25→24)。解答数は漢文で1個減り、全体として1個減(36→35)。
【出題形式】 評論で本文の分量が大幅に減少。問5は、生徒による対話形式の設問で、本文の趣旨を踏まえ、空欄に入る最も適当な発言を選ぶものだった。漢文は謝霊運の五言詩からの出題。問3では、傍線箇所を模式的に示したイラストから、「住居の設備と周辺の景物の配置」として最も適当なものを選ぶ設問であった。また、問4は空欄補充の設問。小説・古文はほぼ例年通りの出題。
【出題分野】 例年通り、近代以降の文章2題(評論・小説)、古文1題、漢文1題という構成であった。
【問題量】 本文の分量は、評論(4200→3200)、古文(1700→1300)で減少。漢文は五言詩の出題で100字(昨年は185字)。小説は昨年並。
【難易】 昨年並。

3.大問構成

第1問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「現代文・評論」 50点 やや易 河野哲也『境界の現象学』による
第2問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「現代文・小説」 50点 標準 原民喜「翳」
第3問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「古文」 50点 標準 『小夜衣』
第4問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「漢文」 50点 やや難 『文選』による

4.大問別分析

第1問「現代文・評論」(約3200字)

  • ●河野哲也『境界の現象学』の一節からの出題。本文の分量は昨年から大幅減(4200字→3200字)。環境の変化に動的に適応する能力としての「レジリエンス」について、その概念が応用されているさまざまな分野に即して論じたもの。2019年度本試の随筆的な文章から一転して、入試頻出の筆者によるオーソドックスな評論からの出題となった。受験生にとっては目新しく感じられるであろう内容を、対比や事例を用いつつ説明していく文章で、本文の叙述を丁寧に追い、その場で理解していく読解力が求められた。評論読解の練習をきちんと積んだ受験生が実力を発揮できる問題であったと思われる。リード文で、本文全体のテーマと議論の方向性が示されていることも、読解の手引きとなったであろう。
  • ●設問構成はおおむね例年通りで、問1で漢字、問2〜問5で本文の論旨の理解、問6で表現や構成が問われた。問5は近年頻出である生徒の対話形式の設問。本文の趣旨を踏まえて具体例の適否を判断する応用的思考を問うものであり、センター試験に代わり2021年度入試から実施される「大学入学共通テスト」でも同種の設問が出題される可能性があると思われる。問5を除けば、本文・設問ともに全体としてオーソドックスな出題であり、難易度としては昨年並(センター試験の評論としてはやや易〜標準レベル)だと考えられる。
  • ●問1は、漢字設問。訓読みも交えて漢字の語彙力を問う、例年通りの形である。(ウ)の「権限」や(オ)の「頑健」が思い浮かびにくかったり、(エ)の〈偏〉〈編〉〈遍〉の使い分けに戸惑ったりしたかもしれないが、全体としてはやや易〜標準レベルである。
  • ●問2は、傍線部の内容説明設問。「レジリエンス」と「回復力やサステナビリティ」とが〈一見類似してみえるがこのように違う〉と述べる対比関係の理解が問われている。選択肢5は「動的な状態に置いておくこと自体を目的とする」が誤り。本文の記述に即した精確な理解が求められた。
  • ●問3は、傍線部の内容説明設問。「レジリエンス」と「脆弱性(vulnerability)」とが〈一見正反対にみえるがこのように関連している〉と述べる論旨の理解が問われている。傍線部に「ここで」と指示語があることから傍線部より前の内容を押さえ、「脆弱性」の説明を傍線部の後に続く箇所から押さえる。また、選択肢4は「均衡状態へと戻るため」が誤り。第5・第6段落で述べられた対比関係を踏まえる必要があった。傍線部の前後の記述はもちろん、本文の広い範囲に目を配ることが求められた。
  • ●問4は、傍線部の内容説明設問。「レジリエンス」という概念が「福祉」にどのように応用されうるかを論じた、本文最後の部分の理解が問われている。ここでも、傍線部に「それ」という指示語があることから傍線部より前の内容を押さえ、「ミニマルな福祉の基準」の内容を傍線部の後に続く箇所から押さえる。選択肢1は「社会体制を整備することが求められる」が誤り。本文の論旨を的確にとらえる力が求められた。
  • ●問5は、生徒(と教師)の対話形式で、本文の趣旨に関する応用的思考を求める設問。対話形式の設問は近年頻出しているが、2016年度本試や2019年度本試のように生徒の発言を選択肢とする形ではなく、2018年度本試の〈対話中の空欄補充〉の形で出題された(なお、対話の場面に「教師」(先生)が登場する形は、2019年度追試や、「大学入学共通テスト」の2018年度試行調査(古文)でも出題されている)。本文の「レジリエンス」の定義を押さえたうえで、空欄前後の生徒C・生徒Bの発言の趣旨を具体例に置き換えて考えれば、正答の選択肢2を選ぶことができる。なお、この設問の選択肢に登場する具体例は、本文では直接言及されていないものであり、本文の趣旨を本文外の事例に置き換えて考える応用的思考力が問われる出題であった。この種の設問はセンター試験でも出題歴のあるものだが、推論などの応用的思考力を問う方針となっている「大学入学共通テスト」でも同種の設問が出題される可能性があると思われる。
  • ●問6は、表現・構成に関する設問。本試についていえば、選択肢4つの枝問2つである点は5年連続だが、2016・2017年度が枝問2つとも「適当でないもの」を答えさせる形であったのに対し、2018年度以降は3年連続で一方が「適当なもの」を答えさせる形となっている。
  • (i)は表現についての設問。選択肢2は、前段落から次段落以降の論旨を踏まえると、「筆者が独自に規定した意味」ではなく、ある程度一般性のある定義だと判断できるので、誤り。また、選択肢3は、「サステナブルな自然」という考え方を筆者は批判しているのであって、その言い方について「好ましくないが、あえて使用している」のではない。表現についての設問ではあるが、精確に本文を読解する力も併せて求められた。
  • (ii)は構成についての設問。2018年度本試のような〈本文全体の構成〉を問う形ではなく、2016・2017・2019年度本試と同様の〈各部分の展開〉を問う形での出題だった。「適当でない」のは選択肢4。第13段落で取りあげられているのは「レジリエンスという概念について」の「一般的な理解」というよりは〈新たな提案〉であるし、筆者が「反論している」ところがあるとすれば、それは「レジリエンス」ではなく「ニーズ」についての通念に対してである。各部分の趣旨を踏まえながら、本文全体の展開を押さえる力が求められた。

第2問「現代文・小説」(約4600字)

  • ●本文は、原民喜「翳」の一節からの出題。昨年同様、昭和期の作家の文章からの出題で、本文の分量は4600字程度と、ほぼ昨年並。戦前から終戦後にかけての時代を背景に、一人の青年がたどった命運を「私」との関わりのなかで描き出している。人物の心情を問う設問を中心にして、語句の意味や表現に関する設問など、全体として例年通りの設問構成であったが、問3では、「私」が「推測」した妻の心情が、問5では、傍線を設定せず、本文中でやりとりされている手紙に関連づけて「私」の「感情」の動きが問われた。センター試験の小説としては標準的な難易度だが、現代との時代背景の違いや、本文中の時系列がやや複雑な点、「魚芳」という呼び名についてリード文や注がなく、誰を指すのかを本文中のつながりから読みとることが求められた点などで、戸惑いを感じた受験生もいたかもしれない。
  • ●問1は、語句の意味に関する設問。(ア)「興じ合っている」、(ウ)「晴れがましく」は辞書的な語義。(イ)「重宝がられる」は、辞書的な語義に文脈を加味して判断することが求められた問いであった。いずれも受験生にとってなじみのない表現ではなかったと思われるが、(イ)はやや判断に迷ったかもしれない。普段から言葉に対する感度を保ち、幅広い語彙力を身につけていたかどうかが問われた。
  • ●問2は、傍線部前後の場面における「私」の気持ちのありようを問う設問。「そうした、暗い、望みのない明け暮れ」は、「本土空襲も漸く切迫しかかった頃」、「妻の義兄が台湾沖で沈」み「サイレンはもう頻々と鳴り唸っていた」状況下の日々のことであり、そうした状況のなかで、「私」が「凝と蹲ったまま」、亡くなった「妻と一緒にすごした月日を回想」している様子をとらえる。正答の選択肢4は傍線部の「……明け暮れにも」という逆接的なニュアンスを反映したもので、傍線部の表現自体にも注意を払っていたかどうかが問われた。
  • ●問3は、「私」が「推測」した妻の心情を問う設問。傍線部の直前の箇所では、米屋の小僧と魚芳が青年訓練所でならった姿勢を実演してふざけ合い、妻も「笑いこけていた」とあるが、そこには「笑いきれないもの」が残されているように「私」には感じられた。それは、傍線部の後に続く箇所にあるように、「御用聞」の若者たちが次々と兵士として出立し、「目に見えない憂鬱の影はだんだん濃くなっていたようだ」ったからである。上記を踏まえて、「私」が「推測」したであろう妻の心情を判断すればよい。
  • ●問4は、魚芳(川瀬成吉)の人物像を問う設問。89行目「久振りに訪ねて来ても、台所の閾から奥へは遠慮して這入ろうともしない魚芳」に着目すれば、「遠慮」を的確に説明している選択肢5が正答とわかる。傍線部と同義の内容を描いているこの箇所に気づかないといたずらに迷う可能性があり、本文全体を視野に入れて考えることが求められる設問であった。
  • ●問5は、本文中の手紙のやりとりにうかがえる「私」の「感情」の動きを問う設問。傍線を設定せず、本文の複数の箇所について問う形は2017年度本試でも見られたもの。選択肢は本文の手紙に関する叙述について登場順に説明したものになっているので、それに従って吟味していく。選択肢1は、魚芳(川瀬成吉)から何の返事もなかったことが「些細」なのではないし、「妻の死の悲しみを共有しえない」や、「やがて……」以下もずれている。選択肢2が正答。本文の場面展開を踏まえた説明になっている。選択肢3は「周囲に溶け込めず立場が悪くなったのではないかと心配」が不適。選択肢4は「時局を顧みない楽天的な傾向が魚芳たちの世代に浸透……」が不適。選択肢5は「他人事のように語る返事」、「役所に勤めた途端に内地への失望感を高めたことに不満を覚えた」が不適。
  • ●問6は、表現に関する説明としての適否を問う設問。「適当でないもの」は選択肢3・6。選択肢3は少なくとも「とぼとぼと」が「ユーモラスに描いている」ところではない。選択肢6は「『私』の生活が次第に厳しくなっていった」が不適。これらの箇所で描かれているのは妻の病状が思わしくなかったということである。選択肢1は、本文の冒頭を読んだだけではわかりにくいが、読み進んでいけば魚芳の小僧が川瀬成吉で、彼がそのまま魚芳と呼ばれていることがわかる。選択肢2は、ところどころに「時」が明示されているのは確かであり、時間的に前後する描写も見られる。選択肢4は、引用箇所は魚芳の「善良」ぶりを示すエピソードだといえる。選択肢5は、本文に「ものを考えるには明るすぎる、散漫な」とあるので、「思索に適さない様子を印象的に描写している」というのは特に問題のない説明である。ただし、他の選択肢と比べ物語の読解に深く関わるものではないので、かえって判断がつきにくかったかもしれない。文脈を踏まえ本文の内容と連動させて選択肢の内容を読みとることが求められた。

第3問「古文」(約1300字)

  • ●本文は、中世の擬古物語『小夜衣』からの出題。センター試験で擬古物語が出題されるのは珍しくないが、『小夜衣』から出題されるのは初めてである。本文は、物語冒頭の、宮が尼上のお見舞いを口実として、姫君のいる庵を訪ねる場面である。
  • ●本文の分量は、1300字と、昨年度の1700字よりも減少した。本文の主語はややつかみにくいが、各設問において、問いかけのなかで本文読解のための手がかりとなる情報が示されており、解答しやすいように配慮されている。また、選択肢も全体としてやや短くなっている。なお、和歌の出題はなかった。
  • ●問1は、例年通り古語の意味に関する設問。(ア)は「ゆかし」「おぼしめす」、(イ)は「やをら」、(ウ)は「あはひ」の意味の理解が問われた。(ア)(イ)は基本的な古語の意味と敬語の訳に注意すれば解答できる。(ウ)は、「あはひ」が「色合い」の意味であることがやや難しかったかもしれない。また、「重なる」「重ねる」の意味の違い、存続の助動詞「り」の連体形「る」の訳し方も手掛かりになっただろう。
  • ●問2は、昨年と同じく敬語に関する設問。「奉る」「給ふ」「侍り」「聞こゆ」という基本的な敬語について敬意の対象が問われた。人物関係をきちんと整理して読解することが求められた。なお、第2段落は、誰と誰とが話しているかの読みとりが難しいが、この設問が人物関係をとらえるためのヒントになっている。
  • ●問3は、傍線部の「うらやましく」という宮の心情が、何に対して生じたのかを問う設問。傍線部を含む一文の直前にある「このかたのいとなみも、この世にてもつれづれならず、後の世はまたいと頼もしきぞかし」から考えれば、選択肢3が正答であることがわかる。現世と来世のことが書かれていることと、「つれづれならず」が「充実感があり」と意訳されていることに気づくことがポイントである。
  • ●問4は、尼上の心情を読みとる設問。第2段落前半にある「げに、かたじけなく尋ね入らせ給へる御心ざしこそ、かたはらいたく侍れ」という宰相の発言と、傍線部の直前にある「さる者ありと御耳に入りて、老いの果てに、かかるめでたき御恵みをうけたまはるこそ、ながらへ侍る命も、今はうれしく、この世の面目とおぼえ侍れ」という尼上の発言から、「つてならでこそ申すべく侍る」の内容を考える。「つてならで」はやや難しい表現だが、全ての選択肢に「直接」とあるので、この表現の解釈で迷うことはない。これらの内容を踏まえると、宰相の発言にある「かたじけなく尋ね入らせ給へる御心ざし」、尼上の発言にある「かかるめでたき御恵み」が、この山里に宮がわざわざ訪れたことを指していることがわかる。人物関係や表現に注意しながら段落全体の状況を把握することが求められた。このような場面は、古文のなかでよく現れるので、なるべくたくさんの文章に触れておくことが望ましい。
  • ●問5は、女房たちの心情を読みとる設問。第3段落前半の、月光に照らされた宮の美しさに関する描写と、傍線部の直前「『世にはかかる人もおはしましけり』と、めでまどひあへり。げに、姫君に並べまほしく」を踏まえて考えれば、選択肢2が正答であるとわかる。本文中の人物の描写や指示語にも着目して考えることが求められた。
  • ●問6は、文章全体に関する内容説明の設問。第3段落の最後の一文「人少なくしめじめとして……名残多くおぼゆ」が選択肢5と対応していることに気づけば解答できる。ただし、「かひあるさまに聞こえなし給へ」が「必ず姫君に引き合わせてほしい」という内容であることを読みとるのはやや難しい。選択肢が本文の内容の順番で並べられており、本文の展開を追いながら登場人物の行動・心情を正しくとらえ、丁寧に本文と各選択肢とを照合して考えることが求められた。

第4問「漢文」(100字)

  • ●本文は、六朝時代の五言詩からの出題。漢詩の出題は2014年度追試以来、散文を伴わない漢詩単独での出題は1992年度本試以来である。文字数は昨年よりも大幅に減少したが、漢詩らしい文学的な表現を多く含み、注も多く、読解の難易度は決して低くない。設問は重要語の読み、訓読などに加えて、詩に詠じられた風景を正しく描いたイラストを選択する新しい傾向の出題がなされた。全体として最近のセンター試験の傾向とは異なる出題であった。
  • ●問1は、漢字の読みの設問。(ア)「倶」は漢文の基本的な語彙。(イ)「寡」は、「寡占」など現代においても使われている熟語の知識や文脈から考える。日頃の学習から漢字や熟語など、多くの語彙に触れておくことが大切である。
  • ●問2は、白文の返り点の付け方と書き下し文に関する設問。繰り返される「不同」に着目する。同形の繰り返しは原則として同じように読まれること、漢文ではしばしば直前の文の末尾を次の文の冒頭で繰り返して論を進めることを踏まえて考える。
  • ●問3は、詩に詠じられた風景を描いたイラストを選択する設問。センター試験の漢文ではこれまで出題されたことのない新しい傾向の出題である。第八句から門が川に向いていること、第九句から井戸がないこと、第十句から周囲が生垣であることを読みとる。読みとった内容から情景を思い浮かべ、正しいイラストを的確に判断することが求められた。
  • ●問4は、漢詩の規則に関する設問。漢詩はいずれの形式も偶数句末に韻字、すなわち末尾の母音が共通する文字を置く。本文の韻字は、「同・中・風・江・■(よう)・峰・功・蹤・同」(※「よう」は土へんに「庸」)であり、いずれも「ウ」の音で終わっている。よって空欄にあてはまる正答の候補は、選択肢1・2・3であることがわかる。また、第十一句と第十二句は対句を成しており、空欄に対応するのは「戸」であることに着目する。このことから選択肢1の「窓」が正答と考えられる。漢詩に関する知識に基づいて内容を判断することが求められた。
  • ●問5は、表現に関する設問。「適当でない」選択肢を選ぶことに注意。傍線部も含めて、対句表現によって、隠棲する住居の周囲の実景が詠じられていることに気づけば、選択肢5の「世俗のいとなみが、作者にとって高い山々をながめやるように遠いものになった」という表現が誤りであることが理解できる。また、隠棲についての知識があればそれもヒントになったかもしれない。
  • ●問6は、傍線部直前の「唯開……求羊蹤」とその注から、作者が友人の訪れを待っていることを読みとる。また、注の読みとりが正答に深く関わる設問は、近年引き続いて出題されており、注に示された情報も含めて判断することが大切である。

5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度20192018201720162015
平均点 121.55 104.68 106.96 129.39 119.22

6.大学入学共通テストへの展望

  • ●今年のセンター試験は、評論で本文の趣旨を具体例に適用する対話形式の設問が、漢文で詩に詠じられた風景を描いたイラストを選択する設問が出題されるなど、新しい傾向の設問が散見された。こうした出題の背景としては、言語活動を意識した場面設定で考えを深める力や、推論する力などの〈思考力〉、図など文章以外のテキスト情報を読みとる力などが重視されていると考えられ、2021年度入試から実施予定の「大学入学共通テスト」にも通じるものだといえる。センター試験にはない新しい形式の問いにも対応できるように、過去2回実施された試行調査や、一部の個別大入試などに見られる新傾向の設問にも目を通しておきたい。もちろん今後も引き続き、本文の構成を押さえたり、馴染みのない表現を丁寧に読み解いたりする力が必要であるが、加えて、本文とそれに関連する資料・テキストとを比較することでどのような情報が見えてくるか、共通点や相違点を瞬時に判断する力も身につけておくことがポイントであろう。
  • ●今年の漢文では、過去のセンター試験ではあまり出題されていない漢詩が出題されたが、「大学入学共通テスト」では、現代文・古典を問わず、さらに多彩なジャンルの文章から出題されることが予想される。どのような文章にも対応できるように、現代文・古典ともに、幅広く、さまざまなジャンル・筆者の文章に触れておくことが望ましい。
  • ●「大学入学共通テスト」になっても、基礎事項は必ず問われると予想されるので、確実に習得しておきたい。漢字の設問や、語句の意味に関する設問などにおいて、日常生活ではあまり使用しない言葉が出題されることも考えられる。たとえ普段の生活ではあまり使わない漢字・語句であっても、教科書や参考書、模試などにおける文章で出会ったものについては、辞書などで意味を確認し、用法を含め習得しておきたい。古文は、重要古語、文法(敬語を含む)、和歌の修辞、古文常識や文学史などを、漢文は、重要語、句法などを繰り返し復習することで、基礎事項を正確に覚えておきたい。
  • ●今後より一層、「思考力・判断力・表現力等の育成」が重視されることから、受験技術的な対策ではなく、基礎学力の確実な定着と、与えられた課題に即して種々のテキストから読み取った情報を活用して考えを深めていく力を身につけることが重要である。

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