データネット2019 2019年度 大学入試センター試験 自己採点集計

問題講評【現代社会】

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1.総評

【2019年度センター試験の特徴】 

国内外の政治・経済や社会の動向をふまえ、幅広く正確な知識・理解が問われた。難易は昨年並

経済分野が減少し、政治分野・国際経済分野の出題が増加した。趣旨を問う出題、写真を使用した出題がなくなり、オーソドックスな出題形式で、時事的な理解を含め、学習した内容が確実に身についているかが問われた。全体として、基本的・標準的な知識が求められており、難易は昨年並。

2.全体概況

【大問数・解答数】 大問数6、解答数36個は、昨年から変更なし。
【出題形式】 組合せ問題が6問出題されたが、そのうち5問が6択であり、8択は昨年の5問から1問と大きく減少した。また、統計表・グラフなどの資料を用いた問題も、昨年の4問から今年は2問と減少し、昨年出題された、本文の趣旨を問う出題、写真素材の出題はなかった。
【出題分野】 経済分野の出題が減少し、政治分野、国際経済分野の出題が増加しており、「現代社会」の各分野からバランスよく出題された。例年同様、大問内で分野を融合して出題され、課題追究・発表(調べ学習)の出題、資料の読解力を求める出題は、例年通り、特定の分野にとらわれずに出題された。
【問題量】 昨年並。
【難易】 昨年並。

3.大問構成

第1問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「経済のグローバル化」 22点 やや難 国際経済、経済、国際政治、現代社会の特質
第2問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「個人の尊厳と法制度」 14点 標準 政治、思想
第3問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「『ありがとう』から考える青年期と社会」 14点 標準 青年期、思想、政治、経済、調べ学習
第4問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「日本の高齢社会と法制度」 22点 標準 政治、経済
第5問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「データの活用と経済理論」 14点 標準 経済
第6問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「欧州議会と民主政治」 14点 標準 政治、国際経済

4.大問別分析

第1問「経済のグローバル化」

  • ●経済のグローバル化をテーマとして、国際経済を中心に、国際政治・市場経済・情報化などが出題された。全体として、国際経済に関する正確な知識が問われた。
  • ●問1は国内外の経済に関する融合問題。国際収支を含む経済指標は苦手とする受験生が多いが、頻出であり、正確な知識を身につけておきたい。
  • ●問3は情報化に関する時事的な用語の理解が問われた。2はバーチャル・リアリティではなく、ビッグデータの説明である。
  • ●問5は国際経済体制について貿易と金融の面から出題された。誤答の4はBIS規制の内容でやや難解な部分であり、預金金利を一定の水準以上にするという部分が誤りであると判断するのは難しかったと思われる。
  • ●問7は世界的な経済危機について、年代と内容の一致だけではなく、原因・支援機関・対象国など詳細な知識と理解が求められた。1の産油国、2のOECD、3のアメリカの金融引締め政策が誤りと見当がつけられても、4の財政赤字問題が顕在化しているユーロ導入国が複数あるという箇所で迷った受験生もいたであろう。
  • ●問8は経済的地域統合に関する出題で、ASEAN自由貿易地域(AFTA)、アメリカのTPP離脱など、時事的な知識が問われた。

第2問「個人の尊厳と法制度」

  • ●ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を題材に、政治分野を中心に西洋思想を加えた出題。基本的な知識が問われ、教科書の確実な学習が求められた。
  • ●問1は判決が2つ出題された。誤答の3は三菱樹脂訴訟で、思想・信条に関する憲法第19条の規定は私人間には直接適用されないという判決であるが、事件がやや古く、迷った受験生もいただろう。
  • ●問2は人間の尊厳についての2つの記述と関係の深い思想家を3人のなかから選ぶ組合せ問題で、それぞれの思想家の考えを正確に理解していることが求められた。アーレントはなじみがなく、戸惑った受験生もいただろう。
  • ●問3は日本の裁判所の判例や法制度、問4は日本の刑罰の制度に対する正確な知識・理解が問われた。

第3問「『ありがとう』から考える青年期と社会」

  • ●「ありがとう」という身近な言葉を題材に、青年期、思想家、調べ学習など、「現代社会」特有の分野を中心に出題された。
  • ●問1は現代の思想家が扱われ、やや細かい知識が問われた。1はヤスパースではなく、レヴィナスの思想を述べたものである。
  • ●問2は2015年度にも出題されたマズローの欲求階層説で、正確に理解していなくても、文章を読んで考えれば正答を選ぶことができた。
  • ●問4は社会保障について、政治分野と経済分野の両面から出題された。1の朝日訴訟と4の堀木訴訟は、生存権の保障範囲について政府の裁量の余地をどこまで認めたかという観点で整理しておきたい。
  • ●問5の課題追究・発表(調べ学習)は例年出題されており、確実に得点しておきたい。

第4問「日本の高齢社会と法制度」

  • ●大学教員と介護施設での体験をした大学生との、高齢社会における契約についての会話文から、経済分野と政治分野が融合的に出題された。
  • ●問1は家族関係をめぐる法制度と最高裁判所の判決が出題されたが、国籍法や女性の再婚禁止期間など、時事的な要素があり、日ごろから社会の動きに関心を持っているかどうかが問われた。
  • ●問2は4か国の高齢者の生活と意識に関する調査結果をもとにした資料読解問題で、選択肢の内容と調査結果の表の数字を丁寧に比較して読み取っていけば正答を選ぶことができる。
  • ●問3は民法、問4は刑事手続など、特定の事項についての正確な理解が問われた。特に問3は昨年も出題された契約に関する出題で、成年年齢が引き下げられ、高校生でも成人同様の契約を結ぶことを念頭においた出題である。
  • ●問5は日本の企業や法人に関する出題である。正答の2は私企業の定義が問われたが、法人企業の中に会社企業と組合企業があることが整理できていないと積極的に正答が選べず、消去法で判断した受験生が多かったと思われる。

第5問「データの活用と経済理論」

  • ●経済分野を中心とした出題。地方創生を「地域経済分析システム(RESAS)」とともに考えるリード文から、国と地方の財政、経済思想、国民所得、企業など、経済の基本的な内容が出題された。
  • ●問2は3つの考え方と3人の人物の組合せを選ぶ問題で、この形式は第6問の問5でも出題された。基本的な内容を正確に理解しているかが問われている。
  • ●問3は苦手とする受験生の多い経済指標に関する出題であるが、基本事項をおさえていれば正答の判断は難しくない。
  • ●問5はリード文で述べられた「地域経済分析システム(RESAS)」を活用して作成したレーダーチャートを用いて、資料読解の技能が問われた。初見の資料ではあるが、選択肢の内容がレーダーチャートのどこから読み取れるのかを丁寧に考えていけば正答を選ぶことができる。

第6問「欧州議会と民主政治」

  • ●政治分野を中心とした出題。欧州統合を題材に、民主政治の基本原理と各国の政治制度が出題された。
  • ●問1は正答の4が2017年の日本とEUのEPA交渉妥結という時事的な内容であり、日ごろからニュースに関心をもつことが求められた。
  • ●問2は選挙制度と選挙原則、問3はイギリスとアメリカの政治制度について、それぞれ基礎的事項が出題された。
  • ●問4は各国における宣言や憲法、問5は政治思想について、基本事項が組合せ形式で問われた。ともに頻出の内容であり、確実に正答しておきたい問題であった。

5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度20182017201620152014
平均点 58.22 57.41 54.53 58.99 58.32

6.センター試験攻略のポイント

  • ●苦手分野を残さず、まんべんなく学習しておきたい。その際に、用語の暗記にとどまるのではなく、用語の内容まで正しく理解しておくことが重要である。特に、法律や条約、制度に関しては、内容や成立の背景まで問われることもあるので、「どのような状況で」「何を目的に」「何が定められたのか」という観点で理解し、知識を整理しておくことが必要である。また、経済分野では、理論や仕組みを正確におさえ、知識を体系的に整理しておくことが欠かせない。
  • ●教科書や資料集に記載されている事項だけでなく、時事的な内容も出題される。日ごろから社会に対する関心をもち、新聞記事やニュースなどをみて、社会の動きや社会が直面するさまざまな課題を理解しておくことが重要である。
  • ●統計資料の問題は、初見の資料をもとに、限られた時間のなかで素早く丁寧に情報を処理することが必要となる。演習を重ねてさまざまな形式の出題に慣れておきたい。

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