データネット2019 2019年度 大学入試センター試験 自己採点集計

問題講評【物理】

PDF

1.総評

【2019年度センター試験の特徴】 

光の屈折に関する探究活動的な問題が出題された。昨年よりやや難化

選択問題が熱力学と原子になった。二人が透明な壁の両側に立っているときの光の経路を考え、与えられた情報を読み取って選択する、光の屈折に関する探究活動的な問題が出題された。部分点を与える問題がなくなり、配点5点の問題が増え、昨年よりやや難化。

2.全体概況

【大問数・解答数】 大問数6は、昨年から変更なし。昨年同様、第1問〜第4問が必答で、第5問・第6問から1大問選択。解答数は、選択する問題にかかわらず22個(昨年は23個)。
【出題形式】 文字式選択問題を中心に出題された。
【出題分野】 例年同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。
【問題量】 昨年並。
【難易】 昨年よりやや難化。

3.大問構成

第1問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「小問集合」 25点 標準
第2問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「電磁気」 20点 やや難 A 半導体ダイオードを用いた回路
B 磁場中に置かれた導体棒
第3問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「波動」 20点 やや難 A 光の干渉、光の屈折
B 単振動する音源によるドップラー効果
第4問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「力学」 20点 標準 A 電車の中ではたらく慣性力
B 鉛直面内の円運動
第5問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「熱力学」 15点 標準 気体の状態変化
第6問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
「原子」 15点 標準 X線の発生

4.大問別分析

第1問「小問集合」

  • ●昨年と同様に、原子を除く、物理の各分野から出題され、基本的な事項の理解が問われた。
  • ●問1は、運動エネルギーと運動量の特徴についての文章選択問題であり、非弾性衝突や等速円運動に関する知識が必要とされた。また、運動エネルギーはスカラーであり、運動量はベクトルであることをおさえておくことも必要であり、選択肢の文章を丁寧に読み取って判断する必要があった。
  • ●問5では、ばね振り子の周期が水平面上、斜面上、鉛直線上のどの場合でも変わらないことが問われた。異なる設定でのばね振り子の周期の比較は目新しい。単振動の学習の中で、ばね振り子の周期がばね定数とおもりの質量のみで決まることをおさえていれば平易である。

第2問「電磁気」

  • ●Aは、半導体ダイオードを用いた回路に関する問題であった。
  • ●問1は、ダイオードを含む直流回路について、半導体A、Bの電流の担い手を問う問題であった。問題文に記されているキャリアの移動方向から、それぞれの半導体のキャリアの符号を読み取って解答することが求められている。p型半導体、n型半導体の接合の向きとそれぞれの半導体に含まれるキャリアに関する知識があれば、比較的取り組みやすい。
  • ●問2は、交流電源を用いたときに流れる電流の時間変化のグラフが問われた。ダイオードの整流作用をふまえて、抵抗に流れる電流の時間変化を解答する必要がある。点Pに流れる電流を考えるには、キルヒホッフの第一法則を用いるのがポイントである。
  • ●Bは、磁場中に置かれた導体棒を素材とした電磁誘導に関する問題であった。
  • ●問3は、導体棒が磁場から受ける力の大きさを求める問題であった。導体棒は静止しているので、2本のレールが等電位であることに注意して、導体棒に流れる電流を求められるかで差がついたと思われる。
  • ●問4は、起電力が生じている導体棒の速さを問う問題であった。まずは導体棒に電流が流れなくなっていることを問題文から読み取り、左側の回路に着目して回路に流れる電流を求めることが必要である。また、導体棒に生じる起電力が2本のレール間に発生する電位差と等しいことに気づく必要もあり、正答にたどり着くまでのプロセスが多い問題であった。

第3問「波動」

  • ●Aは、ガラス板上の一様な厚さの薄膜に斜め方向から入射した光の屈折、光の干渉に関する問題であった。
  • ●問1は、光の屈折の法則と、光の干渉とをそれぞれ問う問題であった。屈折の法則を用いる前半の問題は、二つの媒質の波長に相当する量として、線分の長さの比を用いて解答させる点が目新しい。
  • ●問2は、光の屈折について、透明な壁を進む光の経路を図の記号から選び、さらに壁の両側に立っている姉と弟の目が互いに見える位置を考えさせる探究活動的な問題であった。屈折光の進行という物理現象を理解しているかに加え、問題文中に与えられた状況を説明する文章を読み取る力も求められ、難しかったと思われる。
  • ●Bは、単振動する音源によるドップラー効果に関する問題であった。
  • ●問4は、静止した観測者が音源の音を最も高い音として観測するのはいつかを、音源の位置と時間の関係を表すグラフ上の点から選ばせる、ドップラー効果に関する問題であった。最も高い音として観測される音が発生する点は、音源が最大の速さで観測者に近づいている点であることの理解が求められた。単振動の特徴から、速さが最大の点は位置x=0の点であることを用いるとよい。

第4問「力学」

  • ●Aは、一定の加速度で減速する電車の中ではたらく慣性力に関する問題であった。
  • ●問2は、一定の加速度で減速する電車の中でのボールの軌道を表す図を、選択肢から選ぶ問題であった。ボールには重力と慣性力がはたらき、その合力を正しく求める必要がある。合力は一定となるので、初速度0のボールはその合力の向きに直進することに気がつくことがポイントである。
  • ●Bは、鉛直面内の非等速円運動に関する問題であった。
  • ●問4は、最下点で糸が釘にかかって半径が変化する円運動において、糸が水平になる位置の小球にはたらく張力の大きさを求める問題であった。小球の力学的エネルギーが保存することを表す式と、小球の円運動の運動方程式を正しく書く力が求められた。糸が水平になる位置では、重力の円運動の向心方向成分が0になることに注意することがポイントである。

第5問「熱力学」

  • ●気体の状態変化に関する問題であった。
  • ●問2は、1サイクルで気体が外部にした仕事の総和を求める問題であった。過程B→CとD→Aで気体が外部にした仕事を合計して求めることができるが、求める仕事の総和は圧力と体積の関係を表すグラフの1サイクルの経路で囲まれた面積に等しいことを用いた方が容易である。
  • ●問3は、圧力と体積の関係を表すグラフをもとに、圧力と温度の関係を表すグラフを選択する問題であった。定積変化を表すグラフは原点を通る傾きが一定の直線の一部となることを、理想気体の状態方程式にもとづいて判断できるかで差がついたと思われる。

第6問「原子」

  • ●X線の発生に関する問題であった。
  • ●問2は、特性(固有)X線の発生に関する問題であった。発生原理が問題に説明されているため取り組みやすい。また、ボーアの仮説における振動数条件と同様の考え方ができ、演習経験のある受験生にとっては解きやすかったと思われる。
  • ●問3は、X線の強度を表すグラフの特徴から、陽極金属の種類と加速電圧の両方を考察させる問題であり、目新しい。連続X線と特性X線の性質をふまえてX線の強度を読み取る必要があり、X線に関する正確な知識が不足している受験生にとっては難しかったと思われる。

5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度20182017201620152014
平均点 62.42 62.88 61.70 64.31

6.センター試験攻略のポイント

  • ●今年の選択問題は熱力学と原子であった。過去には、力学と波動からも出題されているので、来年も選択問題は、さまざまな分野から出題されることが予想される。
  • ●昨年同様、今年のセンター試験でも、物理基礎を含む幅広い範囲からバランスよく出題された。今後もこの傾向は続くと予想されるため、苦手分野をつくらないようにまんべんなく学習しておく必要がある。
  • ●教科書に記載されている重要項目、基本的な公式や法則を理解し、演習を通して定着させることで、物理を学習していくうえでの基礎力を高めておきたい。
  • ●昨年に引き続き、探究活動的な問題が出題された。図の中に観測者が多く登場していることから、物理現象の観測を重視する姿勢が伺え、今後もこの傾向は続くと予想される。このような問題では、どういう視点で現象をみればよいかを問題文から読み取ることが大切である。題材としては、教科書に扱われているものが使われることが多い傾向にあるので、それらを確実におさえていることが望ましい。

問題講評へ

データネット実行委員会 ベネッセコーポレーション/駿台予備学校